少し前のこと。巡業サボタージュでマスコミを賑わせた大相撲の朝青龍が、静養していたモンゴルから帰国し、九州の巡業に参加した、と報じる民放のニュースをたまたま見た。「ごめんなさい」をした横綱を追って、マスコミが詰めかけているという内容。で、キャスターがこう言ってのけたのだ。「テレビも普通は、地方巡業なんて取材しないんです」。

 あらら、そうなの。横綱が精神的に錯乱するほどのバッシングを続けたはずのテレビ局も、本音は「地方巡業なんて」なのね。それなら、朝青龍が「巡業なんて」と、故郷に帰ってサッカーしたって何の問題もなかったんじゃない。協会に届けなかったとかなんとか、内部の細かな規定は別にして、「大事な巡業をさぼって」だの、「ファンを軽視している」だの、そんな批判をする権利は毛頭ないではないか。そんなアホなテレビ局が、春場所、またまた、朝青龍の土俵復帰でいかれた大騒ぎをするんだろうなぁ。あぁ、いやだ。でも、三場所ぶりの朝青龍は見たい。憎たらしいほどの強さで勝って、横を向いて手刀を切る、ふてぶてしい横綱を見たい…。枕は、ここまで。

 旭川市役所の人事について「乱暴者を登用せよ」のタイトルで書いた前々号の本欄に、メールや手紙を頂戴した。その中の一通、現職の市職員の方からの手紙を紹介する。

  十一月二十七日号の直言を拝読し、思うところにかなり共感するものがあり、思い切って意見を申し上げようと決心しました。

 ある職員の話として、責任をとらない上司、気力のない職員のことなどが掲載されていましたが、私も常日頃からとても気になっていることがあります。

 私は入庁して来年でちょうど二十年になりますが、前半の十年と後半の十年とでは、ひどく異質なものとなっていることを肌で感じています。

 後半の十年は、確かに市の財政状況は悪化の一途を辿っていますし、旭川の地域経済も冷え込んでいることも事実ですが、同時に市役所の内部が大きく変節してきた十年でもあったと思います。

 スキャンダルにまみれた前市長、安定感のない議会、物言わぬ風潮が蔓延した市内部。特に、前市長の数々の問題から●●●●にある私どもには、市民から直接非難の言葉を幾度となくいただいたことも事実です。

 こうした状況の中で、昨年十一月新しい市長が誕生しました。私どもと比較的近い年齢にあり、かつしがらみの少ないスタンスに密かに共感するものがありました。

 しかし、新市長を支える副市長の人事を聞き、びっくりしたのは私だけではありませんでした。特に、ある副市長においては、スキャンダルの真っ直中にいた人であり、市内部に物言わぬ風潮を醸成した人物と評されていたことから、職場においても一様に驚愕したものです。

 これまで職員の間では、この人を中心に四、五人の職員が毎晩のように焼鳥屋に集まり、職員の噂話を酒の肴にしているということは、半ば公然と話されていました。

 このメンバーは次々と部長職に就き、その極め付けは、昨年メンバーの最後の職員が部長職に就き、その時、同じ職場のある若手職員が「焼鳥屋人事もここに極まれり」と叫んだことが強く印象として残っています。こうした風潮が、物言わぬ、言えぬ職場環境を作りあげ、職場に疑心暗鬼が広まっていると思います。

 しかし、職員の中には厳しい財政状況で事業に対する予算化もままならない今だからこそ、知恵と汗を流し、新しいまちづくりの方向を見いだそうとする動きが出て来ています。

 私どもも、来年春を目途に、これまでの市役所内部ではなく、市内の若手経済人やNPOと広く意見交換しながらまちづくりを考えて行こうとする勉強会を若手、中堅職員十三名程度で立ち上げる準備を進めています。

 本当の市民の目線に立った行政のあり方を真剣に模索する動きが市役所の幾つかで芽生えていることも事実です。どうか、こうした新しい動きに対しても、お力を賜り、様々な機会を通しご支援いただきたいと思っています。

 十一月二十七日の記事を拝見し、少し現状の動きなどをお話ししました。寒さに向かいます。どうぞご自愛ください。なお、諸般の事情から今回はあえて匿名とさせていただきました。お許しください――。

 この方の部署名は伏字にした。手紙について論評はしない。ただ、市役所の機構改革に合わせ、就任から一年半になる西川市長が来春、どんな形でリーダーシップを発揮して、市役所組織を活性化させるのか、見物だと言っておこう。

ご意見・ご感想お待ちしております。