一九七〇年代の二度にわたるオイルショックと狂乱物価、そしてバブル経済に踊った時代とその後の崩壊を経験した、熟年の製造業の経営者が語る。「本当に、分からない。読めない。この原油価格の暴騰を端緒に始まった、あらゆる分野の原料費の高騰と需要の後退、企業業績の悪化…。いつまで続き、どんな形で収束するのか、その後にどんな状況が待っているのか、全く予測も、イメージも出来ない。だから、打つ手を考えることも不可能だ。とにかく今は、コストを出来る限り抑えて、原材料費の高騰分を買価に少しでも転嫁する努力をして、身を縮めて我慢するしかないんだ」と。

別の、全国を商圏にしている製造業の経営者も、私の「どうなってしまうのですか。日本の社会は、どこに向かって進んでいるんでしょう?」の質問に、「わからない。ただ、政治家も、役人も、何も決められないこの国が、国としての存在が無くなる方向に進んでいるのは間違いない気がする。どんな形で無くなるのか、どのくらいの時間が残っているのかはわからないが、そう遠い将来じゃないだろう」と自嘲気味に話した。「例えば、鳥インフルエンザに対する備え。感染が広がれば、日本国内だけで数百万人が死ぬという予測もあるのに、国はほとんど取り組んでいない。欧米を始めとする国々は、国策としてワクチンの備蓄を進めている。日本の政治は無策ですよ。先のことなんてまるで考えていない。あらゆる分野で、その場しのぎなんですよ」と。枕は、ここまで。

本紙の連載「知っていますか? 道議のこと」を読んだ、六十歳代の中小企業経営者の話。「選挙の時に業界のからみでちょっと応援したことのある道議の秘書が、ビールパーティーの券を持って来た。毎年、一万円か二万円か、ポケットマネーで付き合い程度は買ってやっているから、『今年もよろしく』というわけだ。だけど、あなたのところの記事を読んで、道議の報酬の実態を知ったものだから、買ってやる気になれなくてさ。あいつら、正規の報酬のほかに、とんでもない額の調査費やら、日当やらをもらってるんだな。知らなかったよ。交通費にしても、乗ってもいないグリーン席の金まで受け取って、宿泊費の名目でもらう金が一泊一万五千円だっていうんだろう? 秘書に言ってやったんだ。『帰ったら、親分に報告しろ。こんな時代にビールパーティーやって、瀕死の会社から金を集める暇があったら、潰れそうな中小零細企業を一軒一軒歩いて回って、話を聞いて、どうしたら北海道の企業が生き残れるか考えろって、○○の社長に怒鳴られたって』。パーティー券? かわいそうだから、二枚だけ買ってやった」。こうした善人が、百五人の道議の先生を、良くも悪くも、支えているんだろな…。

今週の「知っていますか? 道議のこと(4)」の記事にある通り、報酬とは別に支給されている「政務調査費」は、その大半が、人件費や事務所費、広報費に使われている。あのぉ、秘書を雇ったり、事務所を借りたり、宣伝したりする行為を「調査」の範疇に組み入れるって、かなり無理があると考えるのは、私のヘソが曲がっているせいでしょうか――。

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