総理大臣が読み間違えて以来、新聞記事やテレビのアナウンサーらが「未曾有」という言葉を使うようになったと思いません? 総理に対する皮肉なのかなとも受け取れるし、もしかしたら、記者たちも、総理誤読事件があって初めて「未曾有」なる言葉の使い方を知ったんじゃないかな、なんて邪推してしまうのでありますが、まさかね。

その総理、報道される話しっぷりを見ていると、どうも勘違いされていると思えて仕方がない。「洒脱」や「磊落」と、「不遜」「驕慢」とは似て非なるものだということを。遠山の金さんを意識しているかのようなベランメェ言葉や若者に媚を売っているかに映る略語や造語、そして「わたくしがー」と語尾を引っ張る偉そうな口調が、支持率の低下に少なからぬ影響を与えているという見方は、的外れか。

語尾や支持率と言えば、八つ当たりみたいに聞こえるかも知れないが、NHK総合テレビ午後九時からの「ニュースウォッチ9」の男性キャスター、あの方の語尾も、聞く者に何となく嫌な感じを与えているのを当事者たちはご存知ないのだろうか。言わずもがなのコメントを、さも偉そうに付け加えた上で「ねぇー」と語尾を上げる。当社の社員の母上などは、私と同じく、彼が登場するとチャンネルを換えるのだそうな。視聴率を上げているとはどうも思えない…。我ながら、イチャモンじゃねぇか?と思えないこともない枕は、ここまで。

今号二面の「議会みたまま」にある、市の緊急雇用対策について。市議会で指摘された「対応が遅いのではないか」との声を正面から受け止め、「他自治体と比べると結果的に遅れた面も否めない」状況を招いたのはなぜなのか、この機会に、意思決定の手順やスピードを精査してみるべきだろう。弁解や言い訳で急場をしのぎ、喉元過ぎれば的にやり過ごすのではなく、庁内で徹底的に論議しなければだめだ。

その議論は、そもそも旭川市において、こうした緊急雇用対策が必要なのか、の段階から始めなければならない。「対応が遅かった」という議会の指摘は、国から「年末年始等における離職者等への対応に係る特別交付税措置」なる通知が届いてからの市の動きについての論である。つまり、国から通知がなければ、市は、このような対策は打ち出さなかった、ということなのか。

昨年来、大手の建設会社が倒産するなど、旭川市を含む道北地域の経済状況は深刻の度を深めている。私の身の回りでも、倒産や整理、解雇という話はいくらでもある。市は、その具体的なデータも持っているはずだから、当然、市として何らかの対策をとらなければならない。それとももしかして、財政状況が悪いからという伝家の宝刀的理由で手をこまねいていて、そこに国から交付税が下されることになったから、おっとり刀で、よその自治体の策を眺めつつ、どっこらしょと動き出した、ということなのか。

いずれにせよ、ことは企画、財政、人事など複数の部署にまたがる問題である。「その調整に手間取って…」という常套文句は使わない前提で、その全ての関係部署の職員たちが、なぜ、対策を打ち出すのが遅れたのか、徹底的に話し合えばいい。もちろん、その場は市長が仕切る。市長になって二年を過ぎた。そろそろリーダーシップを発揮してもいいだろう。

その市長に、言葉づかいについて苦言を少々。国の第二次補正予算にかかわる「地域活性化・生活対策臨時交付金」について、市長は「二十七億から二十八億円分の事業を実施して、最低でも一万人程度の雇用を確保したい」と記者会見で述べたと報じられた。「一万人の雇用」って、ものすごいスケールだけど、これって「一万人工(にんく)」の間違いですよね。つまり、三人で三日で終わる仕事の場合、九人工。一万人工で百日と計算すると百人。業界用語らしいけど、そういう意味ですよね。壮大な目標を掲げるのは大賛成だけど、誇大な表現はちょっと…。

今号は、精神状況が悪いのか、最後までイチャモン風になってしまった。ご容赦を。

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