偉そうなことを、好き勝手に、言いたい放題書いている、とお思いの方もいらっしゃるかも知れないが、新聞という商品、その価値がどう受け取られるかは別にして情報を商って飯を食わせていただいている身である。会社に来ていただく方は、例え新聞配達のオネエサンだろうが、郵便局の職員だろうが、ガスの検針のオジサンだろうが、「いらっしゃいませ」「ご苦労様です」と迎えなければならない。私自身も肝に銘じているし、社員もそのようにしているはずだ。お客あっての商売、当たり前のことである。

過日、本州からのお客を案内して、優佳良織工芸館、三浦綾子記念文学館、近藤染工場と回り、JR旭川駅に近い飲食店で昼食をとることにした。電車の時間まで余裕がないという事情もあったが、どうせならば地元の食を売りにしている店で、という思いがあってのことである。

開店時間の五分前に店に入った途端、入り口でウエイトレスに「十一時半からです」と言われた。いささかムッとしながら「席に着いちゃいけないの?」と問い返して、やっと席に案内された。この時点で、遠来の客を前にして、こっぱずかしい(この方言、わかるかな)思いをさせられている。

席に着いて、「電車の時間がないから…」と断りつつ、ランチメニューを手に注文をしようとすると、ウエイトレスが「厨房が準備中なので、十一時半から注文してください」とのたまうではないの。こちらが「五分も早く店に入って、どうもすみません」と謝らなければならないような物言い。思わず「ここは官庁なの?」。語気も荒くなろうというものだ。

結局十分もしないうちに運ばれて来たランチを食しながら、福岡と大阪から見えられたお二人と話した。「全国おなじような風潮なんだが、マニュアル通り、というか従業員が、自分の仕事の意味を理解していないんだ。極端に言えば、時給のことしか考えていない。ここは観光バスも立ち寄る店。その店の従業員だ。例え開店時間の十分前であっても、料理が出るまでに多少時間がかかっても、扉を開けているんだから、いらっしゃいませと迎えて気持ちよく案内し、ハイハイと注文を聞けばいいじゃないか。しかも、電車の時間が迫ってると告げているんだから、それでは大急ぎでお出しします、と受けるくらいの気遣いがあってしかるべきじゃないか」と。その辺の機微、観光地・旭川を標榜するのは十年早い、そんな思いを強くしたランチ事件でありました。枕は、ここまで。

前々週の本紙一面の、「市の係長以上の『役職加算』総額3億円」の記事について、私の友人で読者でもある、中小企業の経営者から反論のメールが届いた。ちょっと長いので、二回に分けて紹介する。今週は、その前編を。

先日のあさひかわ新聞の「役職加算」の記事について、ボク的には「役職加算」の問題を、官民の給与格差を引き合いに役所の高給批判につなげるのは、どうも腑に落ちません。まあ、ボク自身、零細企業経営者の身としては、頑張ってもなかなか引き上げることのできない社員の給料と自身のサイフの中味を考えると、公務員の皆さんの収入がうらやましくないわけではありませんが。

ただ、公務員がどんなに高給だといっても、一般的に住宅を持ち、子どもの二人や三人を、全員じゃないにしても大学までやってとか考えたら、そんなに余裕のある給料をもらっているとは思えないし、そもそも金融機関や商社、流通など大企業と比較したら、大して変わりませんよね?

公務員の給与というか人件費の問題は、私たち市民・国民が行政運営をかれらに付託し、行政サービスを滞りなく受けるために必要な委託費として考えると、そのサービスと比較してどうなのか、という視点で語られるべきではないかと思うのです。

私たちが行政に必要な仕事をお願いするのに、これ以上、特にその仕事の結果に重要な影響を及ぼすであろう管理職の給与を、その本人の成果と関係のないところで一方的に一律に「削減」をすることが、私たちの生活に良い結果をもたらすとは到底思えません。

これ以上、優秀な職員のモチベーションを削ぎ、しかも、「公務員だけずるい」みたいな風潮をいたずらに助長し、等しく地域社会を構成する市民を分断するようなことに何の益もないように思います。――来週号につづく

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