西川市長も、高橋知事も、ほかの首長さんたちも、見習えばいい。東京都の石原慎太郎知事のトップとしての矜持を。東京都の下水道局が職員の制服用に作成した二万枚のワッペンを、デザインが都の内規に反するとして約三千四百万円かけて作り直した問題。報道によると、ロゴの下に五センチほどの水色の波線を添えたのが「内規違反」とされ、最初のデザインを決めた担当の部長と課長が訓告処分を受けたのだそうだ。

報道を受けて、石原都知事は記者会見で「規格に合わないからと作り直して、バカじゃねえかほんとに」と自分の部下である職員を罵倒する発言をしたという。

民間会社で言えば、知事は社長、問題を起こした職員は社員だ。当然のことながら、社員の不始末の最終的な責任は社長にある。だが、石原知事流に言えば、「そんな瑣末なことまでオレの目が届くはずがねえじゃねえか。なんでオレが責任を取らなければならないのよ」となるのだろう。だから、「骨身に染みて反省するよすがにさせる」と作り直しを決めた幹部らを処分するだけで、自らの責任には言及しない。

知事や市長ら首長だけでなく、副市長や部長、課長、課長補佐、係長まで、長の肩書きを持つ公務員は、みんな石原流に宗旨変えすればいい。部下の不始末や失敗には、「お前ら、バカじゃねえかほんとに」と怒鳴ればいいのだ。頭を下げるだの、減給だの、戒告だの、自らを処分する必要なんかない。上から順繰りに、当の担当者まで「バカじゃねえのか」を繰り返してゆけばいいんだ。民間企業じゃ、そんな会社すぐに潰れちゃうけれど、親方日の丸だもの、絶対安心、大丈夫。それにしても、このような威張りん坊を選挙で選ぶ首都の住民の品性、疑っちゃいますけど…。枕はここまで。

定額給付金と並んで麻生政権の景気対策の目玉の一つ、「子育て応援特別手当て」について、六日付の朝日新聞朝刊の「声」の欄に、次のような投書が載った。千葉県の三十六歳の主婦の声である。

――「幼児教育期(小学校入学前三年間 平成十四年四月二日から同十七年四月一日生まれ)の第二子以降の子どもを対象に三万六千円を支給」とあります。話題の定額給付金より高額ですが、わが家の二人の子どもは対象外です。

ふに落ちないのはまず、対象年齢。「小学校入学前」とあるのに、対象は今春小学一年、幼稚園の年長・年中組になった子で、年少組は対象外。同じ年齢の子でも、上に十八歳未満の兄姉がいる子だけが支給対象で、例え下に弟妹が何人いても、第一子は対象外です。

また、保育園では通常、〇~二歳児の方が三~五歳児より保育料も高く、おむつやミルク代もかかり、家計の負担は大きいのです。実態とずれています。

子どもの人数や親の収入に関係なく、子育て世帯への支援といいながら、不平等で、これでは全く少子化対策になっていません。マスコミには問題点を報道してほしいと思います。

市の市民生活部に取材した。旭川市内で「子育て応援手当て」の対象になるのは、住民票上では四千三十八人(予算計上は五千人・つまり一億八千万円)。だが、住民票だけでは確認できない例があるのだという。例えば、上に十八歳未満の兄や姉がいるが、その子が何らかの事情、養護学校などに住民票を移し別世帯になっている場合など。担当者は「制度自体がややこし過ぎて…」と苦笑いしながら、「定額給付金もそうだが、この事業は平成二十年度の予算で行われる。だから、対象となる就学前三年間という設定も二十一年度から二十三年度に小学校に入学する子になる。わかりずらいですよね」と話す。

もう一つ、今回の手当ての対象を限定した理由として、従来の児童手当との兼ね合いがあるのだという。小学六年の三月三十一日まで、全ての子どもに毎月五千円の児童手当が支給される制度で、さらに三歳未満にはプラス五千円、第三子以降は一万円が加算される。今回の「就学前三年の児童」は、その従来の手当ての支援が薄い年齢層なのだそうだ。いずれにしろ、声欄の主婦が感じる不平等感、そして市の担当者の「複雑過ぎて…」の感慨は的を射ている。この手の数字に関するシロモノにからきし弱い私などは、担当者が丁寧に、繰り返し説明してくれたにもかかわらず、いまいち合点が…。

この母親のように不平等感を抱く国民は少なくないだろう。先の担当者も「市民広報に子育て応援手当てのお知らせを載せるのですが、相当の苦情があると覚悟しています」と吐露する。が、考えてみれば、今の自民・公明の政権が、これでもか、これでもかと大盤振る舞いする原資は、すべて借金。定額給付金も、高速道路のどこまで走っても千円も、そう遠くない時期に、私達国民は間違いなく返済を迫られるのだ。その上、やり繰りしながらコツコツと貯めた高齢者の懐に手を突っ込むような法律まで作って、息子や娘に家を建てさせたり、車を買わせたり…。三食いただけて、浪費しないで、老後になって路上生活者にならない程度の、つましい暮らしが出来れば結構、そんな考えはダメですか、麻生総理大臣殿――。

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