友人でもある読者の女性と立ち話した。求職中の息子が、小欄で取り上げた、緊急雇用創出推進事業の一つを受託した市内の企業に雇われ、六カ月間、職を得たが、事業終了と同時に解雇され、現在再び求職中だそうな。彼女は「体を使ったり、汚れたりする仕事をいとわない子だから、まぁ何とかやっていくでしょうけど」と前置きしつつ、「息子が雇われた事業は、仕事とも言えないような、ヒマを持て余すような、そんな仕事だったって、息子が言うの。雇われたのも、経営者の親戚やら知人やら、お年寄りが多かったって。私たちが払っている安くない税金、そんなふうにして使われているんだって、実感として分かったわ」と話した。

 そして後日、メールが届いた。ある団体の事務所で働いている彼女からの便り――

 この職場も還暦まで働かせてもらう予定だったのにまだ居ます。何とか若い人が食べていける給料にならないかと思ったけれど、組合費が減っている…。ここにいて現実に見えるものは、中小零細企業では従業員の社会保険の負担もたいへん。年配の社長は年金で補充、働く場所もないのを知っているので社員のリストラも出来ない。旭川を元気にするには、やっぱり地元の小さな企業を育てること、若い人を育てることだよね。提案!

 (1)買物公園に保育所をつくる。少なくても二カ所。買い物している時間に預かるのではなく、働く親のために。

 (2)あちこち高い家賃で借りている庁舎を丸井さん跡に集める。

 (3)駐車場をどこの店で買物しても無料時間が出来るようにする。

 (4)車のない年配者のためにも、小さな魚屋さん、八百屋さんがほしいね。(私たちが地域の小さな店をつぶしたのかしらね? ごめんなさい)

 「あれだから」とか「これだから」「予算が」と言い訳上手なお役人さんが、「市民がこんなに苦労しているんだ! 市民から頂いている自分達の給料を少しぐらいカットしても何とか暮らしていける。税金の無駄使いを無くし、地元を大事にして、旭川が元気になって小さな都市から日本を変えるんだ~!」となってくれないかな~。ゆめ? 枕はここまで。

 市役所を六十歳で定年退職した職員が、再び市役所に職を得ることができる「再任用」の制度で、これまで二年間だった雇用限度期間が三年に延長された。つまり、年金が満額支給される六十三歳まで、市役所に職を得ることが出来るようになった。

 この再任用について、ちょっとおさらいしよう。菅原功一市長の時代、〇二年(平成十四年)度から実施された再任用制度は、市民から「市内の雇用情勢が厳しい折、公務員だけ優遇されるのか」などと強い批判を受け、施行後間もなく、「凍結」された。しかし、菅原市政のうちに凍結解除の準備は着々と進み、現西川将人市長が当選した翌年、〇七年(平成十九年)四月、再任用制度は復活した。西川市長は、その時、再任用制度について「定年を迎えた高齢者の人材活用」と説明している。

 再任用された職員の待遇を見てみよう。原則として週四日、週三十一時間の勤務。有給休暇は正職員の五分の四で年間十六日。病気休暇もあって、連続で三カ月以内、断続取得の場合は七十二日。ボーナス、特殊勤務手当、特別地域手当も支給され、もちろん社会保険や雇用保険にも加入する。年収約二百四十万円。通勤手当などを加味すれば、一人三百万円ほどの人件費ということになる。

 市役所には、この再任用職員のほかに、臨時職員と非常勤職員がいるが、この稿では触れない。

 現在、再任用で採用されている職員は八十七人。今年度から三年間の雇用となったが、来年度からは四年、その次の年度は五年に再任用の期間が延長されるという。つまり、西川市長が説明した「高齢者の人材活用」などでは全くなく、年金満額需給までの“つなぎ”。その間、市役所が退職者の面倒を見る、ということである。私たちの税金を使って。

 一度は凍結を決めた菅原市長が、どのような理由で凍結解除に向けた労働組合との勉強会だの、道内各市への調査だのを行なうことを容認したのかは分からない。ただ、その間の流れを点検すれば、勉強会だの、調査だの、ヒアリングだのは、組合との何らかの取引があり、そのアリバイ作りではないか、と考えざるを得ない。

 凍結解除を発令した当時の西川市長は、市長になってまだ半年。お役人の言うがままハンコを捺して、言われるがまま再任用の効用を述べたのだろう。だが、市内の雇用情勢は厳しさを増す一方だ。民間企業は、会社の存続と従業員の生活を守ることの狭間で、厳しい経営を強いられている。

 再任用の人件費コストは一人三百万円。八十七人で二億六千百万円という巨費である。国から流れて来る緊急雇用対策のためのお金をもっと有効に使う方策を考えるとともに、この二億六千百万円を旭川市独自の雇用対策に回せないものか。「市民との共働」を掲げる西川市長、庁内の組合のご機嫌をとることが、二期目を確実にする道とは思えませんけど――。

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