飲食店の経営者から電話があった。「市が中国人観光客のために通訳を雇っているというが、通訳をしてもらえるのは午前九時から、夕方までだそうだ。私たちのような夜の商売の者には、利用したくても利用できない時間帯。中国人観光客にとっても、昼間はバスに乗って移動している時間だろう。雇われている通訳は、大層な高給らしい。税金というのは、そんなふうに使われるものなんだね。ちょっと調べてみてよ」。

 ピンと来た。旭川市が身銭を切っている事業ではないな、と。市経済観光部観光課に聞くと、やはり緊急雇用創出の一環で、国のお金が道を通じて交付されている。この「中国人観光客おもてなし推進事業」の総事業費は約千八百万円。昨年十月から今年三月までの間、四人の通訳を雇用し、JR旭川駅前の観光情報センターと、四条買物公園のまちなか交流館(四ノ七中川ビル)に、それぞれ二人ずつ配置している。

 事業の委託を受けているのは旭川観光協会。話を聞くと勤務時間や報酬は、お金を出している国が決めたもので、旭川市が独自にアレンジすることは出来ないのだそうだ。四人は中国出身で、全員女性。報酬は、一日二万円。

 彼女たちは十一月に開かれた二回の講座の講師を務めた。「観光の現場で役に立つ中国語講座」と「中国人観光客を知るための講座」のタイトルで、市内のホテルや飲食店、観光施設などのスタッフらが受講している。参加者から、「こんな場合はどう対応すればいいのか」といった質問も出て、活発な講座になったという。

(工藤 稔)

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