自分が将来年寄りになるなんて、考えられなかった。人生設計なんて言葉は、私の頭のどこを探しても見つからぬ。まさしく凡人である。ところが今年、いわゆる還暦と呼ばれる歳になった。誕生日の十月になれば、一部ではあるが年金受給の資格を得て、老人クラブにも入できる、立派な年寄りの仲間入り。

 数年前、消えた年金問題が騒がれた時期、当時の社会保険事務所に出かけて、私が年金を受給する年齢に達した時、いかほどの額を手にできるかと問うてみたことがある。窓口の担当者は、正確に計算はできないがと前置きした上で、「六十五歳になれば、だいたい一カ月に十三万円ほどでしょう」と答えた。

 日ごろの乱脈、節度のない自らの生活を考慮すれば、満額の年金を受け取れる五年後、生存しているかどうか、いささか心もとないが、それでもようやく、「どんな爺さんになって、どんな暮らしをするのだろう」などと老後をイメージしてみる今日この頃である。そして、このまちは、この国は、五年後、どんな状態になっているのだろうと、せん無い憶測に至ったりもする。

 国の新年度の予算関連法案の行方が見えない。民主党内からも菅直人首相の退陣要求が出始めている。報道は、首相が「国民の声をよく聞いて」と解散をちらつかせていると伝える。さて、一寸先は闇の政治の世界、本当に衆院解散、総選挙になったとしたら、私たち選挙民は、小選挙区は地域の事情やら思惑やらしがらみやら、身近だから候補の本性を知っているとかやら、いろいろあるのだろうが、比例区は、どの党に清き一票を投じるのだろう。

(工藤 稔)

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