ご注意を、という話である。「大町のリサイクルショップ、ドンドンの店長の誕生日に、お花を届けてほしいんですが」――お客からの電話に、買物公園の花店の店主は、注文通り五千円のフラワーバスケットを作った。電話の主は、「佐藤ゆみ」と名乗り、「店長にはサプライズにしたいので、お店に電話をしないでください」とのことだった。そこで、ハタと考えた。「そう言えば、商店街を通じて届いたお知らせの文書に、佐藤ゆみを名乗るイタズラ電話が頻発していて、確か、大町のリサイクルショップと書いてあった…」

 花店の店主によれば、「電話の声は、中年の女性のようだった」と言う。花の届け先にされた、大町二ノ三ノ二十一、Don―Don大町店に取材してみると――。

 店のチーフ、日下部太一さん(28)は「記録をとり始めたのは去年の夏からですが、当店への無言電話や店の周辺の飲食店への偽の注文など、イタズラ電話は一昨年からあったんです」と説明しながら、迷惑電話を記録したノートを見せてくれた。「これは二冊目です」というノートには、毎日、最低五、六件、多い日には十件を超す迷惑電話の記録が残されている。ハンバーガー店から「約束の時間を二時間も過ぎているが、まだ取りに来ないのか」という問い合わせ、「お土産の焼鳥、準備してありますが」との焼鳥屋からの電話などなど。同店周辺を“席巻”し、昨年秋ごろからは、買物公園や三・六街を含む市の中心部の飲食店や酒店、コンビニ、米屋などへの被害が広がっている。

 「いずれも、『佐藤ゆみ』と名乗っていて、中年の女性のようです。当店にも佐藤という姓の女性スタッフはいますが、無関係。ありふれた名を使っているのだと思います。番号非通知か、公衆電話を使っています。曜日に関係なく、当店が開店する午前十時過ぎから、無言電話がかかって来て、午後九時以降はなくなるというパターンですね」と日下部さん。非通知の番号を教えてほしいとNTTに要請したが、「重大な事件性があるものでなければ…」という回答。相談した警察も、注意喚起などで協力はするが「事件として捜査するほどのことではない」という姿勢だという。

(工藤 稔)

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