未曾有の大震災と東電・福島第一原発の事故で世の中が騒然とし、全国各地から警察や消防、自治体関係者が現地支援に乗り出したり、その準備に追われている最中の三月二十三日、名寄市で「第二回サンルダム建設事業の関係地方団体からなる検討の場」という名の会議が開かれていた。

 主催は、国土交通省北海道開発局。出席したのは、北海道知事の代理、政策調整担当課長はじめ、士別、名寄、和寒、剣淵、下川、美深、音威子府、中川、天塩、幌延、豊富の市町村長ら。ロの字形にセッティングされた首長らのテーブルの後ろに、開発局の職員が二十人以上、ずらりと並んだ。会議の出席者数の二倍ほどの数。開発局が主催する会議で、おいおいそんな人数、必要なのかいな、と思わされる、いつもの風景である。

 以前にも本欄で取り上げたが、この「検討の場」なるみょうちきりんな名の会議についておさらいすると。一昨年の総選挙で政権交代を実現した民主党がマニフェスト通りに、全国の大型ダム計画とともに、下川町で進められているサンルダムの建設工事を一時「凍結」した。その後、どんな圧力が働いたものやら、国交省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が発表した「中間とりまとめ」の中で、ダムの必要性を検証する目的で設置を求めたのが、「委員会」でもなく「会議」でもない、この「検討の場」である。

 構成メンバーは、いずれも「ダムつくれ」の北海道知事と流域の市町村長。事務局は、ダム建設の当事者、北海道開発局という、最初から議論になぞなりはしない結果が明白な「場」である。

(工藤 稔)

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