高橋はるみ知事もそうなのだが、原発を抱える自治体の首長さんたちの多くが今回の「フクシマ」以来の原発のありようについて、二言目には「国の基準が」「国の方針が」と、まるで自分には責任がないかのような発言を繰り返すのに唖然としている。菅直人首相が「突然、勝手に、言い出した」と四方八方から袋叩きに遭っている観のある「ストレステスト」についてもそうだった。

 確かに、原発の立地や稼動には、地元の了解が必要とされているだけで、法的には地方自治体に明確な権限はないのだろうが、それにしても、今回のフクシマの、果てしなく拡大を続ける放射能禍の惨状を見れば、もはや「国に任せておいては、我が道民の、県民の、市民、町民、村民の生命や財産、果ては人権までもを守ることは出来ない」と腹をくくるべきではないのか。

 少なくても、「すぐに原発を止めることは現実的ではないが、一定の過渡的期間の先には、原発に頼らないエネルギー政策を地方として模索したい」くらいの、民に対するメッセージを発信すべきだろう。コトが起きれば、地元住民どころか、隣県、隣国にまで、あるいは海の彼方の遠国にまで、その災厄を及ぼす可能性が高いことはフクシマが今も実証し続けているのだから。

 大企業でつくる経済界からは、「原発を止めれば、コストが高騰し、企業が海外に流出する」と脅迫めいた観測も流れる。一部全国紙は、一面トップで「原発撤退なら電気料金が月額二千百二十一円値上げ」などと貧乏人の心を揺さぶる記事を書く。

(工藤 稔)

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