先月十二日の本欄に、佐賀・玄海原発の再稼動を巡る説明会の「やらせメール」について書いた。つい三週間前のことだから、記憶されている読者も多いとは思うが、そのサワリを復習すると――

 当事者たちは、「えっ、これってそんなに大騒ぎになって、めちゃめちゃ非難されて、社長が辞めなければならないような、それほど悪いことだったの?」という思いだろう。だって、これまでも同じようなこと、いやいやもっと際どい「ヤラセ」や「サクラ」の手法を日常的に使って来たのだからさ。もちろん、原発を管轄する経済産業省だって知っているけど、建前上は知らん振りで。

 佐賀・玄海原発の再稼動を巡る説明会に、原発賛成の趣旨の「やらせメール」を投稿するよう、九州電力の社員が子会社に依頼していたとして、非難を浴びている。説明会は政府が主催して六月二十六日に開かれ、地元ケーブルテレビが生中継で放送、インターネットでも配信された。依頼メールには、ネットで意見を送る場合は「自宅等のPCからのアクセスを」と関係者であることを隠すための「偽装」のアドバイスまである。

 私は、「原発を管轄する経済産業省だって知っているけど、建前上は知らん振りで」と書いたが、「知っている」どころか、積極的にヤラセを指示していた事実が明らかになりつつある。七月三十日付の朝日新聞朝刊一面トップの見出しは「保安院 やらせ指示」。リード部分を引用すると「中部電力と四国電力は29日、原子力関連の国主催シンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院から、推進側の参加者動員や発言を指示されていたことを明らかにした」。

(工藤 稔)

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