東日本大震災が、つまり「フクシマ」が起きる七カ月ほど前、二〇一〇年八月にダイヤモンド社から出版された「原子炉時限爆弾―大地震におびえる日本列島」という本のあとがきの一部である。

 ――ともかく今は、対立をしている時ではない。何ヶ月後か何年後かわからないが、大地震は迫っている。この議論には、勝者も敗者もない。勝った負けたはどうでもいいことである。被害者となるのはどちらも同じである。

 浜岡原発の危険性について、電力会社は、日本という国家の「原子力安全・保安院」や「原子力安全委員会」から独立して、判断を下してほしい。これ らの国家的組織の御用学者と官僚集団は、政治家と同じである。まったく微かにも、人間性についても、思考力についても、国民が信頼を寄せることのできない 低レベル廃棄集団だからである。

 中部電力が、浜岡原発を止めるという英断を下すなら、電力会社の信用は、大きく回復するはずである。その英断が、まだ間に合ってほしい。何とか間に合ってほしいのだ。そう、同じことを大地に対しても祈っている――

(工藤 稔)

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