バブル経済が破綻に向かう時代、ゴルフ場の造成計画が持ち上がった突哨山の雑木林は、一帯の土地を買い占めた東京の不動産会社が破綻し、いわゆる不良債権になっていた。比布町との境界にある、広さ二百二十五㌶に及ぶその雑木林は、知る人ぞ知るカタクリの大群生地だった。カタクリ研究の第一人者、河野昭一京都大学名誉教授が「国内有数の規模と密度」と評価する大群落である。

 ゴルフ場計画に対して、麓の農家がその農薬禍に危機感を抱き、植物や動物、森や川が好きな市民たちは身近な自然の喪失に反対して、ともに立ち上がった。突哨山の自然を考える会の設立は一九九一年(平成三年)夏のことだった。

 その三年後の春、雪が解け、木々が葉を茂らせるまでのわずかな期間、山を埋め尽くすように咲き誇るカタクリの花を多くの市民に紹介し、この山の価値を知ってもらおうと 第一回カタクリフォーラムが開かれた。当日は、季節外れの大雪。降り積もった雪に映える淡紅色のカタクリたちの光景は、今でも古参会員たちの語り草になっている。

 あの日から、ちょうど二十回目のカタクリフォーラムが四日、会が募金を呼びかけて購入した麓の土地、カタクリ広場をメイン会場に開かれた。遅い雪解けを考慮していつもの年よりも五日遅れの開催。参加者は百人余りだったろうか。

(工藤 稔)

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