久しぶりに平田寿子さんの家を訪ねた。平田さんは、主婦にして真宗大谷派の僧侶。「バラの庭」で知られる自宅で、仏教の勉強会などを定期的に開いている。初めてお会いしたのは、一九八九年(平成元年)、私がふけた新米記者として仕事に就いた翌年のことだった。

 その年、北海道電力泊原子力発電所が運転を開始した。平田さんは、泊原発の運転開始に抗議して、北海道電力旭川支店前の路上で三日間の断食をおこなった。寒い五月だった。その取材を通じて平田さんと知り合ったと記憶する。

 今回、平田さんを訪ねようと思い立ったのは、平田さんの活動を知る読者から「泊原発が三基とも止まっているけど、平田さんは月に一度電気を止めるのを中断しているんでしょうか」と問い合わせがあったからだ。

 少々説明が必要だろう。平田さんは、泊原発が運転を始めた八九年から、月に一度、自ら希望して送電を停止してもらっている。「原発で発電している電気は使いたくないから、その分を止めて下さいとお願いしても止めてくれないから、不本意ですが、電気料金の不払いをして、電気を止めてもらうことにしたんです」と平田さんは言う。その目的は、「自分自身の電気漬けの生活を振り返るため、電気を止めに来たり集金に来たりする北電の社員や下請けの会社の社員に直接、原発の問題点を伝えるため」だそうだ。

(工藤 稔)

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