今は、新党づくりに忙しい石原慎太郎・前東京知事は、正しかった。前々週、小欄で石原さんが猪瀬直樹副知事を自分の後継に指名した会見で、「あれだけ優秀な副知事は見たことがない。非常に重宝している」と述べたことについて、「石原さんの本質を見た」と批判した。だが、どうやら見当違いであった。猪瀬副知事は、石原さんの評価の通り、石原さんの重宝な使用人であったのだと、分かった。

 五日夜、たまたまBSフジのプライムニュースにチャンネルを合わせたら、猪瀬副知事がゲストで出演しているではないの。お相手は、中野晃一・上智大学教授。いささか遠慮している感もあったが、それでも十三年半に及んだ石原都政について、鋭く切り込む場面があった。例えば、こんな感じ――

 「統治機構が効率的にはたらいて、財政赤字が解消されればいいかと言うと、そうでなくて、住民が豊かになったか、幸せであるか、に帰ってくる。でも、石原都政は、どうも上から目線の議論ばかりで、統治機構を改革する話ばかり。どうやって人々を幸せにするかというところまで来ていない。果たして、総体として都民が幸せになったのか、評価が別れる」

 猪瀬副知事は、その答えとして国と地方自治体の対立構図に話を持っていく。国の設置基準では大都市の需要を満たせないとして、都が独自の基準で設置した認証保育所が二万人の待機児童の解消を実現したという例を披瀝して、石原都政を持ち上げるのだった。肩透かし、ピンボケ。

 中野教授が石原都政の下で「果たして都民が幸せになったのか」と問うのは、次のような施策に対してであろう。

(工藤 稔)

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