北海道功労賞を受賞した長原實さんの受賞記念祝賀会が二十一日夜、市内のホテルで開かれた。家具メーカーのカンディハウス(旧インテリアセンター)の創業者で、現会長。七十七歳。十月十六日付のあさひかわ新聞のインタビュー記事、「じっくり聞きたい」に登場していただいたから、読んでくれた方もいらっしゃると思う。

 その記事には書かなかったが、インタビューの折、長原さんは「別に、威張るというわけじゃないんだけど、くれるという賞をもらわなかったこともあるんだ、実は」と前置きして、こんな話をしてくれた。道庁の担当者に「その賞をいただけば、ものづくり大学にとって、何かいいことはあるだろうか」と尋ねたというのだ。「彼は、『あります』と即答したんだよね。こちらも、『では、いただかせていただきます』ですよ」。なるほど、北海道知事が行う最高の賞の、今年度の贈呈式を報じた北海道新聞の記事の中にも、ちゃんと「ものづくり大学」という文字があった。

 東海大学が二〇一一年度を最後に旭川キャンパスの学生募集を停止する、つまり二〇一五年春にはキャンパスを閉鎖すると発表した事態を受けて、企業経営者を中心にした市民の間から、旭川に「ものづくり大学」を開設しよう、という運動が起こった。長原さんは、その会の会長となり、「私の最後の仕事」と明言して、文字通り東奔西走している。私心はない。「旭川を含むこの地域は、ものづくりで将来を切り開くしか生き残る道はない。そのために、公立のものづくり大学がどうしても必要なんだ」という信念である。

 旭川家具工業協同組合などが発起人となって開いた祝賀会には、長原さんの多彩な人脈を網羅して、約三百人が集まった。普通、この手のお祝いの会は、当事者の挨拶は短い方が喜ばれる。そんなことは、ドイツ仕込の洗練されたダンディズムの持ち主だと推察する長原さんは、とうにご承知であろう。その長原さんが、四十分近く、熱弁を振るわれた。「なぜ、ものづくり大学が旭川に必要なのか」について、である。

(工藤 稔)

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