その話を耳にした瞬間、強い違和感があった。同時に、「国家統制」「統制経済」「国家総動員」といった言葉を思い出した。国は、やろうという意志があれば、何でもできちゃうんだな、国民はやられちゃうんだな。ものすごくいやーな、気持ち悪ーい、神経の深いところをいたぶられるような感覚だ。

 四月二十五日付の朝日新聞朝刊の一面に「まるで安売り禁止令 消費増税転嫁法案」の見出しの記事が載った。リードにいわく――

 来年4月に消費税が8%に上がる場合、政府は「消費税還元セール」だけでなく、「全品3%値下げ」や「生活応援 全品価格据え置きセール」などの安売りも禁止しようとしている。スーパーや洋服店などが自由に価格を決めたり、商品を安く売ったりするのを政府が制限することになるため、小売業界からは「安売り禁止令だ」という批判が出ている。

 消費税は来年四月に八%、二〇一五年十月に一〇%に増税される予定だ。その時に、大型スーパーや大企業が増税分を上乗せ(転嫁)しなかったり、商品を納入する中小業者が消費税を転嫁するのを拒否してはいけないという法律。同時に、小売店が「消費税還元セール」などと謳って特売をすることも禁止する。罰金はないが、公正取引委員会の指導を受け、従わなければ会社名を公表する。法案は、今の国会に提出され、成立する可能性がある。

(工藤 稔)

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