友人でもある読者からメールが届いた。道立旭川美術館(市内常磐公園内)で開催中の美術展についてだった。以下、その一部――

 昨日、戦没画学生〈生命の絵〉展に行って来ました。

 恥ずかしながら、私は絵心はまったくなく、絵のみならず、美術系は、まったく音痴のひとで、絵画展・美術館にはこれまで、全く無縁のひとでした。

 が、以前からのファンである天満敦子さんが、美術館でオープニング・ミニリサイタルをするというのに釣られて、初めて、道立美術館へ行ってみました。歩いて行けるし、絵はダメですが、クラシック音楽はちょいとうるさいので(笑)

 実際に戦没画学生の絵を見て、いろいろ考えさせられ、かつ悲しく、かつ、今の日本の状況を見るに、怒りがこみ上げてきました。貴兄に、ここでぐだぐだ書くつもりはありませんが、旭川や道内の若者たちに、ぜひ見てほしいなとも思いました。

 やはり、残念ながら自分には絵はよくわかりませんでした。しかし、それぞれの絵に添えられていた、画学生たちの思いや叫びは、胸に迫るものがありました。そして、彼らの逝った年齢を見て、あらためて戦争の非情さを思い知らされました。そして、安倍やら、NHK会長やら、田母神やら、百田尚樹やらのしたり顔が思い浮かびました。

 以前、母親が生前、神宮外苑で行われた最初の学徒動員壮行会に動員されたとき(当時は某女子大の学生)のことを話してくれたことがありました。冷たい雨が降る日だったそうです。「男の人は、無理矢理繰り上げ卒業させられ、戦地送りとは、なんともかわいそうだなあ」と複雑な思いで見送ったそうです。そんなことを、絵を見ながら、ふと思い出しました。

 日本を、ふたたび戦争に向かう国にしてはならない。その思いを深くして美術館を後にしました。

 すでにご覧になられた読者も多いかと思う。先の戦争で、絵を描き続けたいと願いながら戦場で命を落とした画学生の遺作・遺品を収集展示する「無言館」(長野県上田市・窪島誠一郎館主)の収蔵品の中から、道内出身二人を含む四十五人の遺作約百五十点を展示している。

(工藤 稔)

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