NHKを自らの傀儡(かいらい)機関にしようという安倍晋三首相の計画は、ほぼ完結したようだ。九日昼のニュースを聞いて確信した。「集団的自衛権 政府方針に具体事例盛り込む」というニュースは次のように言う。

 「安倍総理大臣は自民党の石破幹事長と会談し、集団的自衛権の行使容認に向けた政府の有識者懇談会の報告書が来週十三日にも提出されるとしたうえで、そのあと示す『政府方針』には、行使容認が必要なケースなどを具体的に盛り込み、国民や公明党の理解を得たいという考えを示しました」

 ここで言う「政府の有識者懇談会」とは、首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)のことだ。新聞各紙、一貫して安倍政権の政策を支持する報道姿勢を取る読売新聞でさえ、「首相の私的諮問機関」というまくら言葉を忘れない。NHKは、「首相の私的諮問機関」という形容詞を意識的に使わないことで、あたかも、「安保法制懇」が政令で設置される正式な審議会のような機関だと国民に受け止めさせようとする。

 「アメリカに押しつけられた憲法を日本人自身がつくる憲法に変えなければならない」との主張があるのはいい。だが、国民的論議もなしに、恣意的に選んだ委員による、結論ありきの稚拙な自作自演を、「幅広い代表の方々による精緻な議論」などと言い繕い、憲法を変えずに、戦争放棄を謳う憲法九条を空文化し、自衛隊を地球の裏側まで送りこんで、米軍の補完部隊として戦闘をさせようという安倍首相の計略にまんまと乗せられていいのか。

 九日付朝日新聞「オピニオン面」に、米・マサチューセッツ工科大名誉教授、ジョン・ダワー氏の話が載っている。一部を引用する。

(工藤 稔)

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