西川将人旭川市長が八日、市役所記者室で記者会見を行い、十一月九日投開票の市長選挙に出馬すると正式に表明した。その記事は、混迷する自民党の候補選びと併せて、今号一面に詳報している。他紙の記事を読み比べながら、改めて、報道は怖いなあと感じる。その怖さを噛みしめつつ、市長選を私なりに俯瞰してみよう。

 九日付の北海道新聞は旭川・上川面のトップ記事の扱い。そのリードは次のように書く。

 ――(前略)経済活性化や子育て支援など2期8年で取り組んできた施策の継続に加え、西川氏は市庁舎の建て替えや公立大学設置の検討などを今後の課題に掲げた。西川氏は「これまで同様、多くの市民の意見を聞き、合意を得ながら市政を行っていきたい」と強調した。

 リードに続く本文は次の文言で始まる。

 ――市総合庁舎は1958年完成で、耐震性に問題がある。西川氏は建て替えについて、行政だけでなく民間の集客力も生かした複合型などが考えられるとし、「中心街の活性化やにぎわいづくりに寄与する建物にしたい」と述べた。公立大学設置の検討については、少子化によって地方の大学運営が厳しい状況になるとして「専門家の意見などを参考にしながら市民と議論を進めたい」と話した。

 読解力の欠如のせいか、この記事だけを読むと、西川市長が次の選挙で有権者に一番訴えたいことは、市役所の建物をどうするか、なのか?と私には読める。少なくても、公立大学の設置の問題よりも市庁舎の建設の方が、西川市政では優先順位が上なんだぁ、そう理解する。

 読売新聞は、道内面に二段の見出しで「3選出馬」を伝えた。だが、「新市庁舎」についてはただの一行も触れていない。

 毎日新聞は、「道東北」面に、ベタ記事。ただし、西川市長の顔写真付き。

 ――(前略)西川氏は政策課題として、▽地域経済や中心市街地の活性化▽子育て支援▽環境配慮型の都市づくり――などを挙げた。市庁舎の建て替えや公立大開設の是非についても「道筋をつける」とした。(後略)

 朝日新聞も同じく道内面のベタ記事。写真なし。

(工藤 稔)

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