四月に取り上げてから、幾度か小欄で書いてきたから、結果もきちんと報告した方がいいと思う。すでに報道されているからご存じの方は読み飛ばして構わない。
十月十日、ノルウェーのノーベル賞委員会は、二〇一四年度のノーベル平和賞を、テロや暴力に屈することなく非暴力で女性が教育を受ける権利を訴え続けているマララ・ユスフザイさん(17・パキスタン)と、児童労働の撲滅のためにさまざまな活動を続けているカイラシュ・サティアティ氏(60・インド)の二人に贈ると発表した。静岡県の子育て中の主婦が発案した「憲法九条にノーベル平和賞を」の運動は、今回は実を結ばなかった。
平静を装ったが、安倍政権はかなり神経質になっていたという。全国紙やテレビは報じなかったが、スポーツ紙などは「ノーベル賞に名を借りた倒閣運動」「政権はノルウェー政府に受賞させないよう働きかけている」と噂話も交え面白おかしく書き立てた。
九月三十日号の小欄「私も、あなたも、あの人も、ノーベル平和賞の受賞者になっちゃうかも」を読んだ女性から、「もしノーベル平和賞をもらうことになったら、誰が日本人の代表として受け取りに行くのでしょう? まさか安倍総理?」とのメールが届いた。この運動に共感する人も、反対する人も、全く逆の意味でこの女性と同じ心配をするだろう。受賞を逃して、安倍晋三首相はどれほど安堵したことか。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

●お申込みはこちらから購読お申込み

●電子版の購読は新聞オンライン.COM

ご意見・ご感想お待ちしております。