大きな団体の新年会の後、立ち寄った焼鳥屋のカウンターでの話である。同じ新年会に出ていた、大きな企業の経営者と一緒になった。私と同じで、宴会ではあまり飲んだり食べたりできなかったらしい。家族のために新子焼きのお土産をあらかじめ注文してあったようだ。そのお土産の紙袋をカウンターの横に置いて、「もう一杯」となったところに、電話で持ち帰りの新子焼きを注文していた客が、約束の時間よりも早く現れた。店の者が、「二十分くらいかかります」と応対している。と、くだんの経営者が「よかったら、これ持っていけば」とカウンターの上の自分のお土産を差し出した。「私はあと二十分は飲んでるから」と。

横で聞いていて、何だかすごくいい気分になった。そして、自分なら、あんなに瞬時に反応できただろうか、とも考えた。こういう直感的な気遣い、行動力や判断力が、あの会社を動かしているんだなと感じ入りながら、知性とか、理知とかいう言葉は、実は大層なことではなくて、こうした何気ない、日常の暮らしの場面に現れる、人の品性に対して使われるべきなのだと知らされた。
そうした知性とか、理知とは全く逆の行為が平然と、あからさまに行われている。九日付朝日新聞朝刊は、「翁長知事だから会わないの?」の見出しで次のように報じた。

――沖縄県の翁長雄志知事に対する政府・自民党の冷遇ぶりが目立っている。翁長氏は6~8日、新年度予算の要請などで上京したが、関係閣僚との面会や党の会合への出席は実現しなかった。米軍普天間飛行場の移設問題で国に反対する翁長氏。政府との蜜月を誇った前知事への対応との違いに沖縄で反発の声が上がる。

(工藤 稔)

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