二年前に逝った義母は大相撲が好きだった。面食いだったらしい彼女は、ブルガリア出身の琴欧州(現・鳴戸親方)のファンだった。今は、場所が始まると、家人が母親の位牌をテレビの前に置いて、ついでに観戦する。面食いではないはずの家人の贔屓(ひいき)は知らないが、乱暴な相撲を取る力士は嫌いらしい。

 ひょんなことから、安倍晋三首相の夫人、昭恵氏が大相撲の元小結、舞の海秀平氏の著書『なぜ、日本人は横綱になれないのか』(ワック文庫)の書評を書いたと知った。朝日でも、毎日でも、読売でも、もちろん北海道新聞でもない、産経新聞の書評。旭川で産経の紙面を目にする機会は滅多にないが、最近のニュースについての論調を少し紹介すると、「原発推進」「安保法案賛成」「安倍政権断固支持」、もちろん「憲法改正絶対実現」である。あさひかわ新聞の主張とは、いささか違いますな。

 ウィキペディアを参考に舞の海の略歴を紹介すると――

 本名は長尾秀平。一九六八年(昭和四十三年)二月十七日、青森県西津軽郡鰺ヶ沢町の生まれ。日大相撲部から、出羽海部屋に入門。身長が百六十九センチで相撲協会の新弟子検査の基準に達しなかったため、一度不合格を経験した後、手術でシリコンを頭頂部に埋めて合格した。現役時代の身長は百七十㌢、体重九十七㌔。小兵をカバーするため多彩な技を繰り出す相撲で、「技のデパート」の異名をとった。幕内を三十六場所つとめ、一九九九年(平成十一年)十一月場所で引退。戦歴は二百四十一勝二百八十七敗。技能賞五回。

 昭恵夫人の書評は、産経新聞七月五日付の読書面に掲載された。インターネットでその全文が読める。書き出しは次の通りだ。

 ――去る5月2日、ロサンゼルス国際空港から政府専用機で夫と帰国する際、機中で本書を読みました。舞の海秀平さんとは、以前に雑誌の対談でご一緒させていただきましたが、お話が上手で知的な明るい方だなぁという印象を持っていました。でも、本書を読んでまた少し違ったお顔を拝見しました。

 

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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