――素直に、シンプルにとらえて、判断しよう。六万一千票の声を代表して質問している選良に対して、それが女性だからという理由で、まるで街のチンピラのような口調でヤジを飛ばす男に、この国を任せていいのですか。

 六月二日号の小欄の締めである。「街のチンピラのようなヤジ」を飛ばした男というのは、お察しの通り安倍晋三首相。「六万一千票の声を代表して質問している選良」は辻元清美衆議(民主党)。安保法制を審議する五月二十八日の衆院特別委員会で、安倍首相が辻元議員に「早く質問しろよ」とヤジを飛ばしたというニュースに、私は「女性が輝く社会をつくる」と繰り返す首相の本質は「男尊女卑そのものではないか」と書いた。

 私の見方は、間違っていないと確信した。「敗戦の日」の翌日、十六日付の毎日新聞の一面トップは、「天皇陛下『深い反省』」「追悼式 初めて言及」。政府主催の全国戦没者追悼式で、天皇陛下が「さきの大戦に対する深い反省」に初めて言及されたというニュース。あたかも、「反省」とか「侵略」とか「おわび」とかの言葉を使うか使わないか、「二一世紀構想懇談会」などと大層な名前を冠する有識者会議なるものをでっち上げた末に、閣議決定せずに個人の談話にするとか、いややっぱり閣議決定だとか、みっともない迷走を繰り返した首相をあてこするかのような、陛下の揺るぎない気持ちを表す「おことば」があった、という記事の下に、「3閣僚靖国参拝」の見出しのベタ記事が載った。

 

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

●お申込みはこちらから購読お申込み

●電子版の購読は新聞オンライン.COM

ご意見・ご感想お待ちしております。