そこで買うと決めていた苗屋さんが三年前に廃業した。時期になると、予約をしたり、珍しいものを取り寄せてもらったり、さほど親しくはなかったが信頼しているお店がなくなった。それで、ここ二年は何軒かの小さなお店で買っていたのだが、今年は何を血迷ったのか、大方の野菜の苗を大手ホームセンターで買ってしまった。

 六月の低温が原因だとも思うのだが、ピーマンも、ナンバンも、ナスも、どれも良くない。例年の半分以下の収穫。特にキュウリは壊滅的だ。買った苗には「病気に強い」という謳い文句が添えられていたのに、出来そこないのヒョウタンのような形になって、肌にはアバタのようなブツブツ…。家人に「病気が強くなるって書いてあったんじゃないの?」と冷やかされる始末である。個人経営の小さな苗屋さんを裏切った報いかな、と落ち込んだ。

 救いは、知り合いの農園から苗を譲っていただいたトマトの出来が良かったこと。こんなに大きな、姿も味も良いトマトを収穫できたのは初めてだ。農園主にお会いした折、そんな報告をすると、「まぁ、土の作り方から違うから」と比べられること自体がお話にならないとの表情をされた。納得である。畑仕事を楽しめるのも残りわずか。晩夏・初秋が、あと一カ月続けばなぁなんて、ないものねだりをしてみたいこの頃であります。枕はここまで。

 前号のあさひかわ新聞で、「乳母車の若ママや犬と一緒のおじさんも」「1500人が中心部をデモ行進」の見出しで、八月三十日に行われた、安保法制に反対する集会とデモを報じた。記事の最後に、「通りかかった飲食店経営の男性(64)は、『こんな大規模なデモを旭川で見るのは、何十年ぶりだろう』と驚いていた」との声を紹介した。確かに、千五百人もの人たちが、しかも子どもの手を引いたり、犬を連れたり、ギターを弾いたり、歌を歌ったりして、六百㍍もの列をつくって行進する光景には、心底驚かされた。普通の人が、心配したり、怒ったり、不安を覚えたりしているんだなぁと実感させられるデモだった。

(工藤 稔)

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