ベストセラー「里山資本主義」の著者、藻谷浩介さんの講演会が七日、ときわ市民ホールで開かれた。主催した、旭川に公立「ものづくり大学」の開設を求める市民の会のメンバーの一人が、藻谷さんから「札幌で講演する前日が空いているから、旭川で話そうか」と何とも有り難いお言葉を受けて、急きょ実現した講演会だった。

 開催が決まったのが、年末二十日ごろ。準備の時間もほとんどなく、当日は各種団体の新年会が重なり、ダメ押しのようにメンバーの近親者のお通夜が入った。当日、会場の準備をしながら「三十人は来るよね」とささやき合ったものである。ところが、開始時間が近づくにつれ、来るわ来るわ。椅子を追加で出して、資料もコピーしなければならなくなった。

 正直に言って、こうした講演会では六割がた顔や名前を存じ上げている方たちなのだが、今回は二割もいたかどうか。市役所や旭川信金の職員の姿もあって、藻谷さんの知名度の高さを改めて思い知らされた。入場者は結局、百五人にもなった。

 演題は「『里山資本主義』の視点で、ものづくり大学・新市庁舎・観光立市をとらえれば」。いま、旭川が直面する大きな課題、「公立ものづくり大学の開設」「観光による経済活性化」、そして「新市庁舎建設」について、日本全国のほとんどの自治体を歩いた経験を持ち(常磐公園も、買物公園もちゃんと歩いている)、市町村関係の統計数字や地域特性を把握しているという藻谷さんが独自の切り口や視点を示し、熱のこもった話をしてくれた。

 講演の概略は、前号の記事を参照していただくとして、昨年暮れに藻谷さんから届いたメールを紹介する。講演会を主催する団体などの担当者に宛てた、十項目の「お願い」の文書。抜粋すると例えばこんな具合――

 ・旅費・謝金は、そちらの基準で決めて、お教えください。

 ① 旅費は実費ではなくそちら様の基準で算定し(謝金込みOK)、源泉前の額と源泉額を事前にお知らせください。

 ② 謝金はご予算通りで承ります。源泉前の額と源泉額を事前にお知らせください。主催者団体の性格から判断して額が多すぎると感じる場合には減額いただくことがありますし、主催者が潤沢に予算がある団体なのに額が少なすぎる場合には「フリーライドは良くない」と苦言を呈することもありますが、九九%は何も申しません。

 

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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