前号に続いて、「沖縄」の報告です。私の中の意識としては、もし北海道に、あるいは旭川を含む道北地域に、同じような状況がもたらされたとき、私たちはどうするのか。「民主主義の崖っぷち」にある沖縄に行く理由の一つは、それを考えるためだった。

 例を挙げれば、今もくすぶり続ける高レベル核廃棄物の処理施設の問題だ。宗谷管内幌延町には、日本原子力研究開発機構が運営する深地層研究センターがある。日本中の原発から出る危険極まりない核のゴミを地中深く投棄するための研究をしている施設だ。

 仮に、国がここに高レベル核廃棄物の処理施設を造ると決めたら…。地元はもとより、周辺自治体の各種選挙、北海道知事や国会議員の選挙すべてで、「核のゴミ処理場を造らせない」と主張する候補が、処理場建設を容認する候補に勝って当選する。民意は明確に示される。ところが、国はその民意を無視し、「地方は黙って国に従え」と強権的に計画を進める一方で、「経済対策」というニンジンをぶら下げて、下劣極まる住民分断策を弄し続ける。

 フクシマの原発事故で、今も十万人の人たちが故郷を追われ、「難民」となって漂流している状況で、国は何事もなかったかのように原発の再稼働に突き進む。全国五十四基の原発に貯蔵され、今後も増え続けるであろう核のゴミは、どうにかして始末しなければならない。「トイレのないマンション」にしゃにむに「トイレ」を作るには、東京から遠い、過疎と高齢化が急速に進む最北の地域がもってこいだ。貧乏な住民たちの頬っぺたを札束で叩けば、多少の反対はあっても、転ぶヤツは山ほどいるさ。

 沖縄では、二〇一四年一月、米軍の新基地が計画されている辺野古がある名護市長選、九月の名護市議選、十一月の沖縄知事選、そして全国的には安倍・自民党が圧勝した十二月の衆院選でも、県民は「辺野古・新基地建設は認めない」という意志を示した。圧倒的に。その明確な民意を無視して、新基地建設は続けられる。安倍政権の一連の政治手法を見ていると、「幌延・高レベル核廃棄物処理場建設」は決して誇大妄想ではなく、そう遠くない将来、現実になるのではないか、そんな気持ちを抱いて沖縄の土を踏んだのだった。

(工藤 稔)

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