平和市民連絡会のメンバー、手登根純義(てどこん・じゅんぎ)さん(68)の車に乗せてもらい、沖縄本島北部、山原(やんばる)と呼ばれる地域の東村(ひがしそん)高江に到着した。幸運にも、座り込みの拠点テントで、「ヘリパッドいらない」住民の会の伊佐真次さん(54)とお会いできた。国が嫌がらせのために起こした民事訴訟で、最高裁まで闘った一人だ。以下、伊佐さんの話――

 「北部訓練場は、東村(ひがしそん)、国頭村(くにがみそん)、大宜味村(おおぎみそん)の三村にまたがる沖縄最大の訓練場です。二〇〇七年、高江の集落を囲むように工事がスタートしました。そしてN―4の二つのヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)が完成したんです。だけど、私たちが座り込みを続けているために、N―1の予定地には二年間、手がつけられていません」

 「完成したヘリパッドは、県道から百五十㍍、一番近い民家から約五百㍍しか離れていません。午後十時以降は、ヘリやオスプレイは飛ばない約束ですが、約束が守られたことはありません。ついこの間も、十一時まで飛んでいました。ヘリやオスプレイの騒音、米兵が畑を踏み荒らす、銃撃戦の訓練もやります」

 「二〇一三年八月には、宜野座村にあるキャンプ・ハンセン中部訓練場でヘリが墜落し、現場の大川ダムは汚染(注1)の可能性があるため、一年間取水停止になりました。高江周辺でジャングル訓練が激化するのが心配です」

 (注1)ヘリコプターの回転翼のひび割れを調べるセンサー用にストロンチウム90が使われているとされる。〇四年に起きた沖縄国際大の事故では、墜落したヘリに使われていたストロンチウム90が燃えたが、米軍は「放射能汚染はない」と主張した。

 伊佐さんの話は続く――。

 「十二月のある日の夜八時ごろ、会社で仲間六、七人で忘年会をしていたんです。そこに、サバイバル訓練中の重装備の米兵が二人入ってきました。『腹がへっている』と言うので、私たちが食べていたすき焼きを食べさせました。外にも三人いるというので、残りのすき焼きを持たせました。米兵が立ち去ってから、もし女性が一人だったらと考えたら、背筋が冷たくなりました」

(工藤 稔)

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