関西から新千歳空港経由、JRを使って旭川にやって来た友人が怒っている。「北海道のJRって、なに考えてるん? 新幹線で大騒ぎしといてからに、普通の電車に乗る人を、前よりえらい不便にさせて、そいで北海道に来い、遊びに来いって、頭おかしいんちゃう?」
怒りの理由は、札幌での乗り換えのことだ。二年前に来たときには、JR新千歳空港駅から、途中の札幌駅で座席を後ろ前にするという不可解な行為をさせられたけれど、とにかく直通で旭川にたどり着けた。ところが、今回は札幌で電車を降ろさせて、エレベーターまでトランクを引っ張らせて、違うホームに上るのに再度エレベーターを探させて…。この利用者に対する著しいサービス低下、苦役の強制は、何が原因なのか、利用者に恨みでもあるのか、と言うのだ。
今春、旭川―新千歳の直通便が全廃されたことに、地元の私たちも怒っている。北海道中がバラ色みたいな、「新幹線バンザーイ」報道が繰り返されたのに、よくよく聞いてみれば、新青森―新函館北斗間の北海道新幹線(百四十九㌔)は、年間四十八億円の赤字なんだと。しかもその根拠となる収入の想定は、東京―函館間を移動する人のうち、鉄道のシェアが現在の一割から三割に急増すると予測して、なお四十八億円の赤字なんだと。
そうでなくても鉄道事業で年間三百億円の赤字が続くJR北海道は、在来線の運行本数削減、駅閉鎖、さらに路線廃止で赤字幅を縮小しようとしているように見える。その赤字対策が、そもそも利用客から利便性を奪い、それが沿線集落の過疎に拍車をかけ、さらに利用者の減少を加速させるという悪循環に陥っているのではないのか。速さを競う新幹線や高速道路が、大都市への一極集中にどれほど貢献してきたか、地方の経済や文化を破壊してきたか、私たちは身に沁みて知っているはずなのに。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

●お申込みはこちらから購読お申込み

●電子版の購読は新聞オンライン.COM

ご意見・ご感想お待ちしております。