英国の国民投票でEU離脱派が勝利した直後、離脱をけん引した有力政治家が引退を表明したり、約束や主張を取り下げたと報道された。やっぱりEUに留まるべきだと、大規模なデモまで行われているのだそうだ。そんなニュースを「イギリス人って、意外にアホなんだな」とあざ笑いつつ、我が国の民もそう遠くない将来、似たり寄ったりの状況に陥ってしまうのかな、と思ったりする。

 朝日新聞が、選挙戦の各党幹部の演説を細かに取り上げて報じた「発言録」がなかなか面白かった。例えば、五日付の平沢勝栄・自民党東京都連総務会長。

 ――(都知事選への立候補を表明した)小池百合子さん、もうちょっと根回しをしっかりやればよかったのではないか。根回し不足があるので、自民党内には小池さんに対する反感がかなり渦巻いていることも事実だ。

 しかし、いまは参院選に専念するのが大事。小池さんを推薦するのか、増田(寛也・元総務相)さんを推薦するのか、他のかたを推薦するのか。参院選が終わってから決めたい。

 いま永田町でこんな歌がはやっている。「自民コロコロどんぶりこ。小池にはまってさあ大変。増田が出てきてこんにちは」と。まあ、そんなことはどうでもいい。いずれにしても、私たちは、しっかりした良い候補を立てて戦いたい。(東京都江戸川区での演説会で)

 もう一人、辻元清美・民進党役員室長。

 ――衆院も参院も3分の2以上取らせたら、なんぼ辻元が「総理、総理」言うても(安倍政権を)止められません。私たちの前身の民主党や民進党のことをぼろかす言うてたら政治が良くなる時代は終わってるんですよ。

 今、自民党に投票するということは、白紙委任状を渡すこと。そういう方は、どうぞすべての議席が自民党になるという覚悟をして自民党と書いてください。安倍さんの好きなようにやってもらったら生活も良くなるし、年金も増えるし、日本がどんどん平和になると思う人は、力を込めて自民党って書けばいいんですよ。違うでしょ。それぐらいの覚悟を持たないと、今、与党を支持していただいたら困ると思います。(埼玉県所沢市での街頭演説で)

 ね、面白いでしょう?。図にのって六日付の麻生太郎・財務相。

 

(工藤 稔)

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