しつこいぞ、と非難されそうだが、今号も市役所庁舎と市民文化会館の建て替えについて書く。

 前号で、「市庁舎と文化会館の改修、新築に関わる行政手続きが、どうも普通ではない。過程や手続きを重んじるはずの市職員たちが、何やら焦っているのか、通常とは異なる何らかの圧力があるのか、仕事の流れが不規則なのだ」と書いた。

 特に、市民文化会館については、市役所の組織としての動きが尋常ではない。八月三十一日付北海道新聞「どうする市庁舎整備」の企画記事は、「建築面積拡大へ検討開始」「11月に基本計画案 低層化で費用減」「文化会館、地下駐車場の一部活用」の見出しで、市が新庁舎の建築面積を拡大するため、市民文化会館のカフェ部分や地下駐車場の一部を解体して敷地として使う検討を始めた、と報じた。

 ところが、文化会館を所管する教育委員会には、事前に一言の連絡も、相談もなかったというのだ。教育委員会の職員の一人は「新聞報道があってから数日して、総務部から、いきなりブンカフェの移転補償費を計算しろと言って来た」と証言する。頭越しに決められて、その下仕事を命じられることに強い不満を持っている語調だった。

 二〇一五年三月の議会で、小池語朗教育長は「文化会館は耐震工事を含む大規模改修の方針が基本的な考え」と答弁していたのに、今年五月、市は唐突に「建て替え」を発表した。教育委員会はないがしろにされているのではないのか。小池教育長に取材すると、「庁内不一致だと言われるようなことは言えません」と答えた。宮仕えの悲しさである。

 取材をして感じるのは、一連の市庁舎建設に関わる市役所職員の仕事の稚拙さ、強引さ、気配りのなさ、つまり組織としての仕事になっていない、という情けない実態だ。その責任は、一に西川将人市長にある。考えてもみよ、私企業の中で、ある事業に取り組むときに、その事業の一部を管轄する部署に一言の相談も連絡もなく、土足で足を踏み入れるような進め方をするか? どれほどのワンマン社長でも、担当役員なり、幹部なりに、「君の部署の協力が必要になるから頼む」の一言、つまり仁義は切るぜ。それが組織だ。だから一体になって頑張れる。それがトップの仕事ではないか。もうよそう、ないものねだりは寂しくなる。

 先述の教育委員会の職員が、次のような話を聞かせてくれた。

 ――どうしてこの狭いエリアに、新しい市庁舎と文化会館を建てなければならないんでしょう。文化会館の建て替えの是非は別にして、もし建て替えるのならば、日章小学校の廃校は決まっているのだから、あそこに文化会館を建てた方が、敷地も広いし、公会堂や図書館、道立美術館などの文化施設とも近いし、よほど良いと思います。まず新しい文化会館を建設して、現文化会館を解体した跡地に新庁舎を建てる。そうすれば、現総合庁舎をどうするか、考える時間も取れるでしょう。それに、地下駐車場も改修して使えます。もう一つ、統合された北都中学校の跡地だって候補としては有力だと思いますよ。なぜ、この狭い敷地に全てを詰め込もうとするのか、全く理解できません。

 

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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