新聞が書くことを信用していると、大変なことになる。十五日付読売新聞の社説を読んで、心底恐ろしくなった。見出しは、「敵基地攻撃能力も検討したい」。以下、核心部分を引用する。

 ――北朝鮮の核とミサイルの脅威が新たな次元に入った。それに見合う日本の防衛体制を構築することが急務である。(中略)

 ミサイル防衛の強化は重要だ。ただ、多数のミサイルで同時に攻撃された場合、すべてを完全に撃ち落とすことは困難だろう。

 日本の安全確保には、自衛隊が敵基地攻撃能力を保持する選択肢を排除すべきではあるまい。憲法上も、ミサイル発射が切迫した状況での敵基地の攻撃は、自衛措置として容認されている。(後略・引用終わり)

 おいおい、憲法が敵基地への先制攻撃を容認しているなんて、聞いたことがないぞ。いつから、そんな憲法解釈がまかり通るようになったんだ? 日本一の発行部数を誇る新聞が、こともあろうに社説でデタラメを書き散らし、戦意を煽る。まるで、一九四五年(昭和二十年)以前、大本営発表のウソを垂れ流した新聞を読まされているようだ。

 北朝鮮がらみで言えば、今月初めの報道各社の世論調査で、安倍内閣の支持率が跳ね上がった。その理由を読売新聞は「北朝鮮が五回目の核実験を強行したことで危機意識が高まり、国際社会と連携して対応にあたる安倍内閣への支持に結びついたとみられる」と解説している。つまり国民は、北朝鮮の挑発を脅威と受け止め、軍事予算を増やし続ける安倍政権のタカ派路線を頼もしいと感じたということなのか。大新聞の誘導が効果を発揮し始めた…。何とも気持ちの悪い兆候ではないか。枕はここまで。

 読者から電話があった。小紙十三日号を読んで、「税金が上がるのが心配になった」と言う。十三日号一面の記事をおさらいしよう。

 ――いま盛んに議論されている市役所の新庁舎建設に向けて、旭川市が二〇一五年度までに積み立てた資金は十六億五千万円。計画では新庁舎の建設費は百五十億円、まるで泥縄、唐突に発表された文化会館の建て替え費用は何故か明らかにされていないが、他都市の例から推計するとざっくり百億円。合わせて二百五十億円の財源の大半が、「市債」という借金だ。現在の市債の償還額は年間百八十億円で、市の総予算の一一%に当たる。北彩都整備の市債償還は二〇三五年まで続き、一七年度には償還額のピークを迎え十六億円に達する。そこに、新たに巨額の借金が積み重ねられる。市の財政課の職員でさえ「財政状況は厳しい。建設費を極力抑えてもらい、何とかやり繰りしていく以外にない」と嘆くほどの財政状況なのだ。

 この記事を読んで、「もしかすると住民税や固定資産税が上がるんじゃないか」と考え、心配になって電話をかけて来たというわけだ。

 財政課に話を聞いた。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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