「カジノ法案 衆院委可決 公明は自主投票」(北海道新聞二日付夕刊)、「カジノ法案成立の公算大 衆院委可決 自民採決強行」「審議時間6時間」(毎日新聞三日付朝刊)の見出しを見て、あ然とした。カジノって横文字を使えばカッコいい雰囲気を振りまくが、日本語で言えば、博打・ばくち、賭博・とばく、賭けごと、金を賭けて勝負をすること。裏の社会の危険な遊び。どう言い繕ったところで、経済とは無縁の行為なのだ。それを経済対策だと言い募る神経が私には分からない。断っておくが、私は賭けごとそのものを否定しているわけではない。あくまで表に出ない、裏の遊びだ、と言っている。昔、パチンコに凝ったし、最近はわけあって遠ざかっているが、マージャン大好きだし。

 日本には、全国津々浦々に、パチンコ・パチスロという立派な博打場がある。その数一万五千~一万六千店。市町村数の十倍もの、お上公認の博打場である。こんな国は世界にない。博打は民から労働意欲を奪い、国を亡ぼすことにつながるから。カジノ解禁といい、原発や武器の輸出といい、金になれば何でもありの、美しい国を目指す安倍首相、バンザーイ。あきれ返った枕はここまで。

 読者でもある友人が、顔を赤くして言う。「あの言い方って、関わっている市民に対してすごく失礼でないべか。あれを書いた記者は、市長の言葉をそのまま文字にしたら、市長の足を引っ張ることになるとは考えないのかな。ということは、その記者も市長と同じ考え、ということなのかな」。

 十一月二十二日付の北海道新聞朝刊に、「検証 西川市政10年―3期目後半へ」の番外編として、西川将人市長のインタビュー記事が載った。記者の質問「市庁舎整備も大きな課題。現総合庁舎の保存運動も起きています」に対して、西川市長は次のように答える。

 「来年一月に基本計画、四月以降に基本設計に入る段取りを考えています。総合庁舎を残してほしいという気持ちは分かりますが、費用などをしっかり積み上げて議論が必要。(保存運動は)いろいろ団体があるうちの一つで、それだけに振り回されることにはなりません」

 辞書によれば、「振り回される」とは「別の人の意見や行動によって動かされて、迷惑すること」の意味だ。市長は、文化的、歴史的、建築学的価値が高く評価されている「赤レンガ庁舎」を残して活用しようという市民運動に対して「迷惑だ」と公言していることになる。

(工藤 稔)

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