八日付の朝日、毎日、読売、日経の社説は、いずれも前日の「党首討論」を取り上げた。安倍晋三首相と民進党の蓮舫代表の初めての党首討論。蓮舫代表は、カジノを中心とした統合型リゾート(IR)整備推進法案の衆院通過を取り上げ、「カジノは賭博だ。勤労を怠り、副次的犯罪を誘発する。なぜわずか五時間三十三分の審議で強行採決に踏み切ったのか」と迫った。

 以下、ときに安倍政権の広報紙のごとき報道姿勢を恥じない読売の社説「首相はカジノの説明を尽くせ」から引用する。

 ――首相は「(政府が今後策定する)法案で、懸念にも具体的な答えを出していく」と応じた。自民党などによる拙速な衆院採決に関しては、「議員立法だから、国会が決めることだ」とかわした。

 ギャンブル依存症の増加や資金洗浄の恐れなど、カジノの弊害に対する国民の懸念は大きい。

 首相は以前、法案を作成した議員連盟の最高顧問を務めた。カジノを推進するなら、その経済効果や、副作用について、自ら丁寧に説明する責任がある。(引用終わり)

 読売にして、首相に「丁寧に説明せよ」と要求せざるを得ないほどに「乱暴だ」ということだろう。

 原発再稼働も、ТPPも、年金カット法案も、カジノ解禁も、もちろん憲法改悪も、安倍政権が繰り出す個々の政策は、「支持しない」国民が圧倒的多数なのに、安倍政権そのものは異常なほどの高支持率を維持し続ける。そのおごりが、党首討論での相手を見下したような、小ばかにしたような物言いに表れる。子どもたちには絶対に真似をさせてはならない、忌避すべき振る舞い。この国の民は、いつからこんな不遜な男を嫌わない感性を獲得してしまったのだろう。ホントに泣きたくなるわ。枕はここまで。

 二日付北海道新聞夕刊が、「千歳技大 公立化検討」「授業料下げ学生確保」の見出しで、千歳市と私立の千歳科学技術大学が、同大の公立化に向けた検討を始めると報じた。

 記事によると、同大は十一月の理事会で公立化を目指す方針を決め、市は来年度予算に公立化の可否を判断するための調査費を計上するという。

 同大は、設立費約九十八億円の大半を千歳市が出資して一九九八年(平成十年)に開学した、いわゆる「公設民営」の私大。理工学部だけで電子工学科など三学科、入学定員は二百四十人。定員割れが続いていて今春の入学者は百九十七人だという。

 公立化すれば、設置した自治体に対して地方交付金が配分される。授業料は、当然下がる。加えて「公立」という信頼感というか、広い意味のブランド力というのか、間違いなく学生を引き付けるようになる。

 道新の記事にもあるが、「二〇一八年問題」を背景に全国で私大の公立化が活発だ。百二十万人前後で推移している十八歳人口が二〇一八年から減少に転じ、二〇三一年には百万人を割ると予測される。今でも財政的に厳しい私大が、次々に閉学に追い込まれるのではないか、という強い危機感がある。

(工藤 稔)

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