旭川大学の公立化について検討する有識者会議が二日、ようやく始まった。西川将人市長の私的諮問機関という位置づけで、年度をまたいで八月までに五回の会議を持つ予定だ。

 メンバーは九人。具体的な名前や経歴などは前号で紹介したから省くが、六年前から地道な活動を続ける、旭川に公立「ものづくり大学」の開設を目指す市民の会から複数が選ばれている点を見ても、市側の本気度がうかがわれる。

 一回目ということで、欠席した原田直彦・旭川信金理事長を除く八人が自己紹介をして会議がスタートした。座長は置かない。担当する総合政策部の黒蕨真一部長が進行役となり、同部職員が公立大学設置について、これまでの経過や経緯を説明し、全道全国の大学の概況のデータを示して説明することに大半の時間を使った。

 最後に各委員がそれぞれの大学観や、この会議が目指すべき到達点について意見を述べた。その中の何人かの話の要旨を――

 伊藤友一・旭川に公立「ものづくり大学」の開設を目指す市民の会会長「西川市長が選挙の公約に掲げ、二年をかけてやっとこの会議が立ち上がった。進むべき道をきっちり示したい。デザイン、クリエイティブ系の大学を作りたい。旭川大学と旭川市が、早くGOサインを出し、具体的に進展するのをしびれを切らしながら期待している」

 長澤秀行・前帯広畜産大学学長「卒業する学生の地元定着率が大事な要素。北海道の多くの大学は首都圏に人材を送り出している。地元に残しているのは、帯広畜産大、旭川医大、そして北大。大学は大きく変わって来ており、北大でさえ危機感を持っている。学生のため、その先にある地域のための大学であらねばならない。若者の視点で考えましょう」

 山根治彦・旭川東高校長「旭川大学の公立化は前途多難。だが、公立大は市民の悲願、失敗は許されない大事業だ。どれだけ優秀な教員を集められるか、ひいてはどれだけ優秀な学生を集められるかだ。本校の生徒が行きたいと思える大学をつくろう、とならなければ意味がない」

 一回目の会議でも示されたが、全国で私立大学が公立化される例が相次いでいる。昨年末の小欄でも書いたが、千歳市の千歳科学技術大学が、公立化に向けて動き始めている。千歳市は来年度予算に公立化の可否を判断するための調査費を計上するという。いわゆる「二〇一八年問題」、十八歳人口が減少に転じる二〇一八年を見据え、実現に向けて着々と歩を進めるだろう。

(工藤 稔)

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