日本国民は、自衛隊が米軍と一体となって、他国の軍隊と戦う、死傷者が出る、あるいは死傷させる、その覚悟が出来ているのだろうか。

 一日から三日にかけて、海上自衛隊の護衛艦「いずも」と「さざなみ」が米補給艦を守る任務を遂行したと報じられた。報道によれば、いずもは一日、房総半島沖で米補給艦「リチャード・E・バード」と合流、二日に呉基地(広島県)を出たさざなみが加わって航行し、三日午前、南西諸島東方海域で、米補給艦と別れたという。昨年成立した、安全保障法制に基づく「米艦防護」だそうだ。

 安全保障法制にもろ手を挙げて賛成した四日付読売新聞によれば、海上自衛隊は、今回の航行目的が米補給艦との共同訓練だったことは認めたが、「米艦防護」については、「実施したかどうかコメントは控える」とした、という。

 記事に付けられた「米艦防護」の解説に次のようにある。

 ――(前略・今回の共同訓練の)実施場所は北朝鮮の攻撃対象になる可能性が低い太平洋側が選ばれ、「本格稼働前のウォーミングアップ」(防衛相幹部)に近い活動だったと言える。

 米艦防護で最も必要とされるのは、防御が手薄な米空母や、ミサイル迎撃態勢にある米イージス艦を海自が守る任務だ。今後は緊迫する日本海や、中国が進出を強める東シナ海での任務も想定される。

 アジア太平洋地域の平和と安定の維持のためにも、米艦防護などを通じて日米の一体運用を強化し、抑止力を高めることが重要となる。(引用終わり)

 安倍晋三首相は、憲法記念日の三日、新憲法の制定を目指す日本会議が主導する集会にビデオメッセージを寄せ、「二〇二〇年を新しい憲法が施行される年にしたい」と明言した。そして、戦争放棄を定めた九条に自衛隊の存在を明記した条文を追加すること、高等教育の無償化を定めた条文の新設を挙げたそうな。

 安全保障法制の成立で、自衛隊が米軍と一体化して、米国の戦争に加担する道が開けた今、九条は骨抜き状態だから、あえて触る必要がない、ということだろうか。高等教育の無償化など、憲法を変えるまでもなく、国がやろうと考えれば、すぐに実現できることだ。お得意の目くらまし。国民もなめられたものよ。

 

(工藤 稔)

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