朝日新聞七月二十八日付「池上彰の新聞ななめ読み」の見出しは、「新聞の責任 事実を刻む 歴史の証人」。「忖度(そんたく)」の話を枕に、安倍政権と新聞報道について書いている。小欄(五月三十日号)でも「前次官の出会い系バー通いの報道と、『共謀罪』がない今にして…」の見出しで取り上げた、前川・前次官を巡る読売新聞の報道に焦点を当てる。以下、引用。

 ――7月10日、国会で前川喜平・前文部科学次官が参考人として出席しました。前川氏については、読売新聞が5月22日付朝刊で、東京・歌舞伎町の出会い系バーに通っていたとの記事を掲載していました。

 これについて議員に問われた前川氏は、昨秋に杉田和博・官房副長官から注意を受けていたことを明らかにした上で、「官邸と読売新聞の記事は連動しているというふうに感じた。私以外でも行われているとしたら、国家権力とメディアの関係は非常に問題がある」と語ったと7月11日付朝日新聞は報じています。(中略)

 池上さんは、毎日新聞の記事と詳報も紹介した後、次のように書く。

 ――さあ、前川氏から、これだけ批判された読売新聞です。いったいどのような記事になっているのかと思って、同日付の読売新聞を読んだのですが……。どこにも、この部分の前川発言が掲載されていません。(中略)

 ――新聞とは、日々のニュースを刻むもの。それはやがて「歴史の証人」になります。新聞が一言も報じなければ、事実がなかったことになってしまいます。他の新聞やテレビの報道で知ってくれとでもいうのでしょうか。新聞で報道された内容がやがて歴史になるという、歴史への責任感がないのでしょうか。(後略・引用終わり)。枕はここまで。

 七月二十九日付北海道新聞が、高橋はるみ知事が、自身の後援会の会合で、二〇一九年春に行われる予定の知事選への対応について、「素晴らしい人がいれば譲る」と述べたと報じた。発言は、檜山管内江差町で開かれ、同管内の支援者約五十人が出席、非公開で行われた会合の中であったという。

 知事は、「いつまでも居座るつもりはない。後継者を育てないといけない」と述べる一方で、「(素晴らしい人が)いないなら頑張らなければと思う」「一生、北海道のために尽くしたい」とも話し、五選出馬の可能性を否定しなかったという。

 高橋知事は一五年春の知事選で道政史上初の四選を果たし、在任十五年目。道新の四月の世論調査によれば、高橋道政の支持率は六八%で、就任以来最高だったそうな。どこかの市の首長さんと同じく、ほとんど新しい施策に挑戦しないから失敗もしない。足腰軽く歩き回って愛想を振りまくのがお得意で、それが選挙に強い唯一の理由、ってか。それにしても、「素晴らしい人がいれば譲る」なんて、何様のつもりなのだろう。今の貴方は「素晴らしい人」という意味か? そして、知事の職って、貴女が「譲れる」ものなのかね。長く居座ると、こうなってしまうんだ…。

(工藤 稔)

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