八月二十九日、火曜日は弊紙の発行日で、お休み。休みの日は早起き。元気いっぱい。起きてすぐに畑に出るのだが、この日はあいにくの雨模様。私に起こされて渋々布団から出て来た家人と、「傘をさして散歩に行くのもねえ…」などと話していると、警報音のような音が鳴った。「携帯じゃない?」と言う家人に促されて、見ると、「ミサイル発射。ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射された模様です。頑丈な建物や地下に避難して下さい。」(総務省 消防庁)とある。

 テレビをつけると、日本政府は、群馬県から北海道までの広い地域に住む国民に向けて、「頑丈な建物や地下に避難して下さい」と指示している。あきれた表情の家人は、「こんなバカげた命令を信じて、頑丈な建物を探して、あわてて外に飛び出して、転んでけがをする人、いないのかな」と言う。私は「近くに頑丈な建物や地下がない場合は、その場にうずくまって、頭を抱えるのだ。国民の生命と財産を身を賭して守ってくれる安倍総理大臣が言っているから間違いない」とアホを言って笑わせたのだった。

 その前日、八月二十八日付の北海道新聞夕刊一面、「オスプレイ道内に再び 事前通知なし」の記事。以下、引用する。

 ――米海兵隊の新型輸送機オスプレイが26日に訓練を終えていたにもかかわらず、28日、陸上自衛隊北海道大演習場(恵庭市、千歳市、北広島市、札幌市)に再び飛来した。同日は陸自との日米共同訓練の最終日で、道内から引き揚げる海兵隊員の輸送のためとみられる。北海道防衛局はオスプレイの訓練期間中、飛来前日に演習場の地元自治体に通知していたが、今回は通知していなかった。道防衛局は「事前に情報を把握していなかった」と説明している。(後略・引用終わり)

 米軍は、私たちの国の空を飛行ルートを知らせることなく、勝手気ままに飛び回ることができる。北海道防衛局の説明を信じるとすれば、共同訓練をしている自衛隊にも事前に情報を伝えずに、である。日本って、独立国じゃなかったのか?

 三十日付の新聞各紙は、一面から社会面まで、「北朝鮮がミサイル発射」「Jアラート ミスで混乱」などの記事を華々しく載せた。その片隅に、「米軍オスプレイ 大分空港に緊急着陸」の小さな扱いの記事があった。写真付きで比較的丁寧に扱った毎日を引用しよう。

 ――29日午後6時半過ぎ、米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイが大分空港(大分県国東市)に緊急着陸した。けが人や火災は発生していない。緊急着陸した機体はこの日に岩国基地(山口県岩国市)を離陸し、沖縄県内の基地に向かっていたものとみられる。(中略)

 一方で岩国基地で28日にオスプレイから白煙が上がるのが目撃されており、今回緊急着陸した機体と関連がある可能性がある。(後略・引用終わり)

 事故が頻発して「未亡人製造機」の異名を持つ飛行機を自由に国土の上を飛び回らせておいて、特に沖縄では幼稚園や学校や住宅地の真上で訓練するのを黙認しておいて、国民の大半が腹を空かせている北朝鮮がへなちょこミサイルを一発や二発撃ったといって大騒ぎする、避難せよと命じる。出来の悪い漫画、笑い話の世界ではないか。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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