亭主の留学に同行し、そのままフィンランドで暮らしている娘から時々、私と家人にメールが届く。四日ほど前、写真が添付されて届いたメール。

 ――昨日は氷河期の壁画のある場所へ、ボートで連れて行ってもらったよ。壁画自体は小さな絵だったけど面白かった。

 壁の上でフィンランド名物焼きチーズとお茶、クッキー(これはイギリス製)を頂きました。写真に写っているのは、レアさんとクリスさんご夫妻。

 レアさんは日本にいたことがあり、親日家。日本語が少し話せて、今でも色々と興味を持っているみたい。今、庭に日本庭園風の池を手作りしているよ。

 日本の衆議院解散の話を振られ、「なぜ解散するの? あべさんは北朝鮮との問題に貢献しているんでしょう?」と、レアさんが言うので、「政府はたくさん問題を抱えている。私達はあべを信じていない。嘘つきのビッグマウスだ」と言ったら、クリスさんは大笑いで、レアさんはちょっと変な顔をしていた。

 普段親しくしていても、政治や宗教など、誰がどんな考えや信念、人脈の中で生きているかは分からないから、迂闊なことは言わない方が良いんだろうなあ…と思いました。

 このメールに、普段は温和な家人が敢然と反論したので、いささか驚いた。以下。

 ――そんな消極的な態度はいけません。日本国民のすべてが「あべ」に賛同していると誤解されてしまうではないですか。平和憲法を踏みにじり、唯一の被ばく国なのに核兵器禁止条約に参加せず、トランプ米大統領と一緒になって戦争を煽るような首相を戴くことを恥ずかしいと感じている国民もたくさんいます、とはっきり話すべきです。国外にいる日本国民として、貴女はそうする責務があると、お母さんは思います。

 娘からの反応は、まだない。枕はここまで。

 この原稿を書いている九月三十日現在、旭川を含む北海道六区の衆院選の情勢は流動的だ。「流動的」というよりも、全国レベルで考えれば、政治状況は「液状化」しつつある、とも感じられる。

 九月二十五日の記者会見で、安倍晋三首相は今回の衆院解散を「国難突破解散」だと言った。大儀なき自己都合の解散だという批判に対して、少子高齢化と北朝鮮の二つの問題を「国難」だとこじつけたいようだ。二十八日付の毎日新聞は「首相こそ国難」の見出しで、「それが本当の解散理由なのか」と書く。以下、その記事から。

(工藤 稔)

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