前週、十一月二十一日号のあさひかわ新聞七面、ジュンク堂書店「今週のベスト5」の【文芸】の第三位は、「徹底検証『森友・加計事件』朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」だった。著者は、小川榮太郎。『首相動静』(読売では『安倍首相の一日』)に度々名が出る総理のお友達である。一九六七年(昭和四十二年)生まれ。評論家。大阪大から埼玉大大学院へ。二〇一三年にNHKの経営委員に就任し、その極右的思想が世論の注目を集めた長谷川三千子・埼玉大学名誉教授の教え子だという。

 このような、言ってみれば、UFОや超能力、超常現象を扱う〝トンデモ本〟の類が、書店の「ベスト5」に名を連ねることに、正直、驚愕した。本当なのかと担当者に話を聞くと、「飛ぶように」のレベルではないが、「確実に売れています」と言う。比較的年代が上の、経営者然とした、男性が買って行くそうだ。

 朝日新聞は、二十二日付紙面で、小川榮太郎氏に対し、「森友学園」「加計学園」をめぐる一連の報道を、根拠もなく、取材もせずに「虚報」「捏造(ねつぞう)」などと決めつけ、名誉や信用を著しく傷つけたとして抗議し、謝罪や訂正を求める申入書を送ったと報じた。記事の一部を紹介する。

 ――小川氏は同著書で「総理のご意向」などと書かれた文部科学省の文書があることを報じた本社記事などについて、「『総理の意向』でないことが分かってしまう部分を全て隠蔽(いんぺい)して報道し続けた」などと記載。加計学園をめぐる報道では、本社がNHK幹部と「密議」や「共謀」して「組織的な情報操作」を行った、などとした。
 本社は申入書で、入手した文書について「『総理の意向』でないことが分かってしまう部分を全て隠蔽」した事実はないと反論。「NHK幹部との『密議』や『共謀』」との記載についても、「荒唐無稽な持論を展開している」と指摘した。そのうえで、「事実に反する主な箇所」として十六項目を列挙し、二週間以内に書面による回答を求めている。(引用終わり)

 十年ほど前、第一次安倍政権が発足した二〇〇六年より前には、こうしたトンデモ本が「ベストセラー」に名を連ねる現象はなかったし、国会の質問時間を「与党と野党を公平に」などという、馬鹿げた主張がまかり通る事態もあり得なかった。「安倍一強」と評される状況の下、日本という国は、気味の悪い社会に向かっているのではないか。お国のために命を捧げるのは美しい、英雄的行為ですみたいな、そんな価値観にじわじわと覆われようとしているのではないか。とても嫌な予感がする。いささか長い枕は、ここまで。

 さて、東海大学旭川キャンパスが撤退した後、旭川を含む道北地域の「ものづくり産業」の将来を左右するであろう公立大学について、である。二十一、二十二日に開かれた市議会の「旭川大学の市立化等調査特別委員会」で質問に立った、東直人議員(民主連合)のブログに、門外漢でも理解できそうな解説があった。議会と並行して行われている「有識者会議」の議論で普通に使われる「創造力」や「イノベーションデザイン」という言葉は難しい…。東議員のブログの一部を引用する。

 ――六人の議員が質問に立ち、私も、ものづくり系の新学部の教育内容をどうするかを取り上げ、そのために創造教育やデザイン思考とはどんなものなのかを理解しましょうと、他の議員や市の担当者に呼びかけました(少なくとも、理解しようという態度を持ちましょう、と)。

(工藤 稔)

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