読者でもある友人H氏から、次のようなメールが届いたのは十一月二十一日。彼は、もう一人の友人K氏にも同じメールを送ったらしく、K氏から返信の形のメールが送られてきた。以下、そのサワリ。

 ――旭川市中心市街地活性化協議会、旭川市(地域振興部)主催のこんなイベントのチラシと検討案をある人からもらいました。こんなイベントがあることは知っていましたか(添付)。

 目的にある、「…市民自らの手で、『日常的に賑わうまちなか』に向けたソフト中心の取り組みを進める…」というのは良いのですが、どうもうさんくさい。百十億円の税金を使って、あちこちの事業予算を削って建てる新庁舎が、どう市街地(旭川市)の活性化に役立つのか分かりません。と言うより、市はソフト面で何とか市民を巻き込まないと、理解されなくなるかもと、危機感があるのかもしれません。

 JR駅~買物公園~七条緑道、常磐公園(文化施設含め)への人の流れをソフト面を重視して作ることは大事で、それこそ市民サイド、行政サイド、商店街による協働作業での検討が必要だと思いますが、無理して新庁舎に関連づける必要はないと思います。

 それと、このイベント紹介は新聞にも出ていないのではないだろうか。(引用終わり)

 続いてKさんからの返信。彼は市がつくる検討会などで、しばしば委員を務めている。

 ――情報ありがとうございます。このイベント企画は初めて知りました。

 中心市街地活性化計画は、常磐公園改修工事の上位計画になった計画(十年計画五年ごとにフォローアップ)で、平成十八年から始まっており現在三期目がスタートした段階です(第一期平成十八―二十三、第二期平成二十四―二十八、第三期平成二十九―三十四)。

 計画策定は国の認定を受ける(助成金を受ける)ため、認定を受けやすいように外面優先の計画が先行しています。その好例がこの下位計画に当たる「かわまちづくり計画」(常磐築堤改修工事)でした。

 市民本位とは言いながらその協議の体制づくりが追いついていないため、行政主導のもと、俄(にわ)かづくりの協議組織でお茶を濁している現状と思われます。

 第三期計画のパブリックコメントが平成二十九年八月二十二日~九月二十二日までありましたが、寄せられた意見は十四件で、その中には今回のイベントに関するような意見は含まれていません。

 Hさんの指摘のように、焦点が定まらない不評の新庁舎建設問題をこの活性化計画の中に組み込んで既成化したい狙いがあるのではないでしょうか。

 中心市街地活性化の方策を市民本位で検討することは重要ですが、そのためにはしっかりした組織作りと筋立てが必要と思います。市側の我田引水とお粗末さが露呈しているような気がします。(引用終わり)

 そのイベントは十一月二十四日午後五時半から、道北経済センター(旭川商工会議所のビル)で開かれた。当日の北海道新聞朝刊に、「きょうまちづくりシンポジウム」の見出しでベタ記事が載った。

 控えめなPRにしては会場のホールは人がいっぱいだった。主催の市地域振興部地域振興課に聞くと、二百十四人の参加があったという。そのうち半数を超える百三十人は市の職員。担当者は、「職員にも必要な話だから参加を呼び掛けた」と言う。要するに、動員した。午後五時半のスタートというのも、市職員の退庁時間、五時十五分に合わせたものだろう。会社勤めの人間をはじめ一般市民の多くにとって、五時半はまだ仕事をしたり、家事をしている時間帯である。この「中心市街地×新庁舎~地域の魅力と庁舎を活かしたエリアづくり」と大層な名を冠したイベントの主たる対象者は、市の職員だった、と勘繰られても仕方あるまい。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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