仙台の高齢者施設で弊紙を読んでくれている先輩からメールが届いた。東京生まれ。氏は旭川で長く暮らし、企業経営者として政治経済やまちづくり、文化の分野にも深く関わった。八十一歳になった今年、長男がいる仙台に移って半年になる。

 メールは、彼の地の河北新報と北海道新聞の紙面を比較した講評などを記した上で、前号の小欄を起点に旭川の「近未来」に提言する。そのサワリを紹介しよう。ちなみに「最後の十六行」とは、「地場で最も高給取り、エリートが集まる組織が、その組織力や情報収集能力、企画力を発揮できないまま、ただただ百十億円の新庁舎建設、六十年の歴史を持つ名建築・レンガ庁舎解体に向けて、まっしぐら」の一節である。

 ――ここで、旭川市の市庁舎建設問題を考えてみたいと思います。貴兄の捨て台詞的「直言」の最後の十六行。まさしく「その通り!」です。

 社会党政権時代の旭川市から、坂東徹市長の保守市政に。遅れたインフラ整備を急ピッチに展開したことはご承知の通りです。そのインフラ整備の目玉は、小中学校の校舎や体育館の暖房、そして「川のまち・あさひかわ」の七百を超える市内の橋の整備だったのです。

 時が流れ、橋を支えているコンクリートの耐用年数が五十年といわれていることはご承知かと思います。国道・道道は別として、市道にかかる「橋」の劣化は、直接的に市民生活に影響します。

 市の厳しい財政事情のなかで「新庁舎建設」という時代遅れの事業を大半の市民は容認しているのでしょうか? 市民の代表であるべき市議会議員は本音で、西川市長と考え方が同じなのですか? 今号貴紙の五面、市議が一六年五月に完工した秋田市の新庁舎を視察に行った記事があります。「中央吹き抜け構造で、地域材の秋田杉をふんだんに使用している。旭川の新庁舎も…」。市議会議員の「問題意識レベル」の低さに呆れてしまいます。「秋田市は資金繰りに十分自信があった」と、この記事にもあります。旭川市は起債(市債)で賄うという。雲泥の差じゃないですか!

 どうしても、市庁舎を職員のために建設したいなら、旧上川支庁(第三庁舎)の建物を軸に、振興公社が入っている第二庁舎と渡り廊下でドッキングするとか、もしくはプレハブ(最近のプレハブの進化は驚くべきものがある)にして、冷暖房設備だけはきちんと整備する。そして現赤レンガ庁舎は耐震補強をして「市民活動・情報センター」にする。この建設費の差額が大きいと思います。振興公社は稼げる機関。どこか貸しビルに入居すべきでしょう。

(工藤 稔)

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