畏敬する企業経営者が、こんな話をしてくれた。ものごとを好き嫌いで判断しない、とても懐の深い方の言葉である。小さなウイークリー紙に対する叱咤として肝に銘じよう。

 ――市役所の新庁舎建設について、北海道新聞をはじめ、マスコミはすでに決着がついた、という姿勢だ。あんたに何度か話をしたが、市庁舎なんてものは、一般で言えば「住宅」みたいなものなんだ。経済的な生産性は何もない。土木建築業界に恩恵をもたらして、その一部がまちに還元するかもしれないが、一時的なものだ。「シビックセンター」とか何とか言ったところで、所詮は市役所の職員が快適に仕事ができる環境を整える、それだけの話だ。

 みなさん、色々なしがらみがあって、優先順位が間違っているのを知っていても、なかなか口に出せない事情もあるんだろう。あんたのところの新聞は、書き続ければいい。しつこく主張し続ければいい。それが、もしかしたら、計画されている二期棟の建設とか、市民文化会館の建て替えとか、さらなる箱物行政にブレーキをかけることになるんじゃないか。

 という声に背中を押され、前週につづき、今週も新市庁舎について書こう。十二月十九日号の本紙「議会みたまま」が、市議会総務常任委員会の議員と新庁舎の設計を請け負う企業体との意見交換の模様を報じている。(敬称略)

 福居秀雄(自民会議)が、「計画では一平方㍍当り四十万円で計算しているが、この価格で建設できるのか」と質問。久米・柴滝・中原共同企業体の設計士は、当惑した様子で建設費の増額については言葉を濁した、とのこと。

 そのやり取りを受けて、金谷美奈子(無所属)が、以前の自身の質問に対して、「一平方㍍当り四十万円での建設が難しいと判断したら『立ち止まって考える』と答弁したが、その考えに変わりはないか」と質した。庁舎建設担当の中野利也部長は「新庁舎建設に有利な財源となる、市町村役場機能緊急保全事業は平成三十二年(二〇二〇年)までの時限立法。これを受けるためには、ゆっくり立ち止まっているわけにはいかない」と答弁した、とある。

 「立ち止まっている余裕がないほど、市役所を建て替えるために、国から多額の金がもらえるのか」と、中野部長に話を聞いた。

 大まかに言えば、平成三十二年度までに使った建設費の二二・五%が国から交付税として戻ってくる、のだそうだ。例えば建設費が百億円だと仮定すると、基本計画の事業スケジュールと突き合わせてみれば、平成三十二年度までに、ざっくり半分、つまり五十億円の事業費が注入される予定だから、その二二・五%、十一億二千五百万円が、国から交付税の形で戻ってくる、というわけだ。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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