夕飯の後、家人とボーっとテレビのニュースを眺めていると、なにやら慌ただしい空気が画面から伝わり、雲隠れしていた佐川・国税庁長官が辞任して、その上司の麻生・財務大臣が会見を開くという。あらら、国会であんなにかばって、抜擢人事を「適材適所」と言いつのってきたのに、なぜ、この日、このタイミングで大臣が…。おまけに、佐川さん本人まで出てくるんだと。就任会見も拒否して、ホテルに泊まったりして逃げ回っていたはずなのに。


 しばらく画面を凝視していた家人が、膝を叩いた。「そうよ、今夜、これから、パラリンピックの開会式があるの。だから今日、この時間の会見なのよ。パラリンピックを目くらましに使うなんて、どこまで卑しい人たちなのかしら。ああ、いやだ」。

 結局、NHKは政権の企みにまんまと乗ったふりをして、会見の中継はせず。CSのニュース専門チャンネルで、麻生大臣と佐川長官の会見を拝見したのだった。

 麻生大臣は、「オレ」と「私ども」を使い分けつつ、自身の「任命責任」や「進退」はあいまいに否定し、それでも「佐川から行政への信頼を損なったと申し出があったから、三カ月の減給二〇%の懲戒処分を科すことにした」と説明した。かなり、しどろもどろになりながら。辞めた当日から向こう三カ月の減給処分? 私ども庶民にはチンプンカンプン。そんな情況にありながら、政権を厳しく批判する東京新聞の記者に対しては、いつもの薄ら笑いを浮かべてからかう姿に、ゲーッとなった。

 読者のみなさんがご承知の通り、いま国会が混乱しているのは、安倍晋三首相が天敵のごとく毛嫌いする朝日新聞が放ったスクープが発端だ。森友学園への国有地売却にからみ、財務省が学園との賃貸・売却契約に関する決裁文書を、安倍晋三・昭恵夫妻との関連が疑われるような文言を削除したり、改ざんしたりして、国会に提出した、という記事。事実ならば、紛れもなく虚偽公文書作成という大罪だ。政府機関が出す文書も、それに基づく議会証言も、議会での発言も、すべて信用できないということになる。政権が吹っ飛ぶ大事件である。

 その決裁文書が改ざんされた疑いがある、まさしくその時期に、担当部局のトップだったのが佐川長官。そして上司の麻生大臣。その張本人二人の会見を公共放送のNHKは、なぜ、どんな理由で中継しないんだ。

 それにしても、一方の当事者である森友学園の籠池夫妻は逮捕され、異例の長期拘留、外部との接触を断たれた状態と伝わる。そして昭恵夫人付き政府職員の女性は、突如として外務省に出向し、イタリアの日本大使館に一等書記官として大栄転、日本を去った。政権あげて、よほど森友問題には触られたくない。一刻も早く幕引きにしたい。国民に忘れてほしいと見える。権力の私物化、ここに極まれり。それに手を貸すわれらのNHK。視聴料返せー、である。枕はここまで。

 四十代の女性読者から、新市庁舎建設について、「もうダメなんですかね」とメールが届いた。「ダメ」というのは、このまま建てられてしまうのか、という意味だと解釈する。「遅ればせながら一市民の思いをお伝えさせていただきます」と、「旭川の人口 平成三十年三月一日現在」というグラフを添付して送ってくれたメールを紹介しよう。

(工藤 稔)

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