私の周囲にも、森友・加計学園の問題を追及する野党や報道機関を指して、「そんなことにいつまで関わっているのか。もっと国にとって、国民にとって、大事なこと、国会で議論すべきことがあるだろうに」と語る方がいらっしゃる。もっともな話に聞こえるが、実は間違っている。森友・加計学園の問題の本質は、国家権力が私物化され、時の権力者のお友達や同調者が、国民の財産を優先的に手中にできる、つまり国の機関や組織が腐ってしまっている現実の現れなのだ。

「忖度(そんたく)」という言葉で軽く流されそうになるが、忖度される側の意向が働いて、異常な値引きが行われたり、無理筋が通されたり、政治家や官僚が動いたりした。当然、そのことを忖度させた側は分かっていた。だから「総理は自分の口からは言えないから」という言葉が最側近から発せられたのだ。そして、「私や妻が関係していたら、総理も国会議員も辞める」と啖呵を切ってしまっていたものだから、財務官僚たちは、忖度の水準を遥かに超えて、決算文書の「改ざん」という犯罪的行為をやらされるはめになった。

何のために、誰の指示で。それが解明されなければ、問題は決着しない。決着しなければ、この国の権力は腐ったまま、維持されることになる。腐った権力を戴く国民の未来は明るいか。私たちや孫子は幸せになれるのか。という話なのだ。これ以上に大事な話って何なんだ。教えてほしい。枕は、ここまで。

四月十日号と十七日号の小欄で、今後十年ほどの間に、旭川市はゴミ処理の関連施設の新設や改修に三百六十億円もの巨費を投じる必要に迫られている実態について書いた。西川市政のもとで進められている市役所の新庁舎建設に、一平方㍍当たり四十万円という、非現実的に安価な建設費で済んだとして約百億円。現在は棚上げ・先送り状態にある市民文化会館を建て替えるとしたら、最低でも百億円が必要になる。そこに、ゴミ関連の三百六十億円が追加される。合計すると五百六十億円。市議会で取り上げた、のとや繁議員(共産)が質問の中で、「恐ろしい金額」と表現したのもうなずける巨費である。

コラムを読んでくれた読者から電話があった。今年一月、市役所の新庁舎の建設費について、「建設費が百五十億円だとしたら、生まれたばかりの赤ちゃんも含めて、市民一人当たり、四万四千百円も負担することになる」と書いた小欄に、「今のところ赤ちゃんを産む予定はないんですけど」と電話をくれた若い女性である。話の大筋は次の通り。

――編集長さんは、「あと出しジャンケンのようなもの」って書いていました。「詐欺的行為」じゃないかって。こんなことって実際にあるんですね。

市役所の建物は、耐震が弱いから建て直すと聞いていますが、旭川ってほとんど地震がないじゃないですか。もちろん安心は出来ないのでしょうけど、直言にもありましたが、優先順位の問題ですよね。今の赤レンガ庁舎の耐震も、言われている数字が本当に正しいのかどうか、建設当時の図面とかを調べても、正確には分からないんでしょう? どうして、もう一度、客観的な機関に調査をしてもらわないのかしら。

(工藤 稔)

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