この連休中に畑を起こした。自宅の周りの狭い空き地を耕し、短い夏の間に野菜づくりを楽しむようになって十八年になる。収穫を終えた秋と春耕の前に堆肥をたっぷり梳(す)き込んで、農薬を使わずに十種類ほどの野菜を育てる。特に長ネギは、農業者の友人から苗を譲ってもらい、毎年同じ場所でつくる。連作障害が出そうなものだが、土が健康なせいか、八月頃から美味しい長ネギを食べさせてくれる。今年はトマトはどこにしようか、キュウリは比較的日当たりが良いあそこだな、などと小さな菜園を見回しては〝営農計画〟を立てている。

今冬は雪解けが遅かった。四月に夏日に近い気温になったり、桜の時期に冷たい雨が降ったり、何だかおかしな春だ。暑い夏になりますように、太陽にお願いしながら、こどもの日の朝、クラカケ大豆と韓国トウガラシと青ジソとオクラの種を育苗ポットに蒔いて、朝晩はまだストーブを点ける居間に入れた。「いい苗に育てよー」――憧れの職業、農業者の気持ちに少しだけ近づける季節の到来だ。枕はここまで。

四月二十八日付の新聞各紙の一面は、朝鮮半島のニュース。「南北『完全な非核化』目標」「両首脳 板門店宣言 年内に終戦表明」(以上日経)などの大見出しが躍った。

首相が「自民党総裁としての考え方は相当詳しく読売新聞に書いてある。ぜひそれを熟読していただいてもいい」と国会で堂々と述べるほど安倍晋三総理大臣と親密な関係にある読売の一面トップも、当然「『半島の完全非武装化』合意」の記事。「板門店宣言 具体策なし」と、米・韓・朝・中の連携から孤立しそうな安倍首相に〝同情〟する見出しも打って独自色を出してはいるが。

その横に、「福田前次官を処分 財務省 セクハラ認定 減給20%6か月」の三段の見出し。福田淳一前次官の顔写真付きの記事がある。引用すると。

――財務省は27日、複数の女性記者へのセクハラを週刊新潮に報じられて辞任した福田淳一前次官に対し、「減給20%・6か月」の処分を行うと発表した。福田氏はセクハラを否定しているが、自社の女性記者がセクハラを認めたとのテレビ朝日の発表を認め、セクハラがあったと認定した。財務省は福田氏の退職金5319万円から減給分141万円を差し引いた5178万円を支給する。福田氏が退職金を自主返納する形式になる。

次官代行を務める矢野康治官房長は27日に会見し、テレビ朝日の主張に対して「福田氏から十分な反論・反証が提示されなかった。財務省の調査はこれをもって終了する」と述べた。(後略・引用終わり)

女性記者に対して「胸さわっていい?」などセクシャル・ハラスメントを繰り返していたと報じられた福田前財務次官の組織のトップ、麻生太郎財務相は一貫して福田次官を擁護した。その発言を振り返ってみよう。

「被害を受けた記者が名乗り出ないと判断できない」。記者の「セクハラ被害者は名乗り出にくい」の指摘に対して、「福田の人権はナシってわけですか」と反論(四月十七日の会見で)。

「(セクハラが嫌なら)次官担当を男性記者に代えればいいと自派のパーティー後の懇親会で発言していた」(四月十九日発売「週刊新潮」の記事)。

(工藤 稔)

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