年金生活者である。同年代の友人は「国家公務員になった」と自嘲する。働けなくなって、満額を受け取るようになっても、果たしてこれで暮らせるのか、そんな不安を覚える年金額から、介護保険の保険料が容赦なく天引きされる。突然、何の相談もなく値上げされても、抵抗のしようがない。問答無用、されるがまま、巻き上げられ放題である。くだんの国家公務員になった友人などは、「オレらは、年金が当たるだけましよ。オレらの子ども世代は、おそらくもらえまい」と淡々と見解を述べる。

 そうかも知れない。サギをカラスと言いくるめ、息をするごとくウソをつく御仁が権力を握る国だもの、国家的年金詐欺など大いにあり得て不思議はない。それでも極小新聞社の総務担当社員は、律儀に納める保険料を計算し、定められた期日に納める。社員の市民税も、会社の市民・道民税も事業税や消費税、復興税も、ため息をつきながら、きちんと納付する。

 二十六日付読売新聞の一面トップの見出しは、「陸上イージス 4000億円超」「最新レーダーなど 2基、当初の倍」。リード部分を紹介すると。

 ――防衛省が地上配備型迎撃システム「イージスアショア」の導入経費について、2基で4000億円以上と、当初見通しの倍の算定をしていることが分かった。費用高騰を受け、中国を念頭に置いた巡航ミサイルの迎撃機能は当面見送る方針で、機能面では縮小となる。(引用終わり)

 同日付の毎日は、防衛省が「イージス・アショア」の配備を計画している秋田・山形の両県で、地元の反発が強いため適地調査の入札を延期すると発表したと報じた。記事の中で、同省が「1基1000億円」と説明してきた導入費用が、最新型レーダーの採用で2基2500億円前後に膨らむ見通しで、迎撃ミサイルの購入費を含めれば5000億円に迫る可能性もある、とする。
 同じ二十六日付朝日も、適地調査の入札延期を報じる記事で、小野寺五典防衛相が当初、一基八百億円としてきた導入費について、「イージス・アショアがどれくらいの見積もりかを一度も言ったことがない」と発言したと伝えた。そして、「イージス・アショアは本体のほかに、採用が見込まれる米ロッキード・マーチン社製の新型レーダーなど関連装備費もかかるため、防衛省内には、2基で総額五千億円超に跳ね上がるとの指摘もある」と書く。
 「イージス・アショア」って、何だかよく分からないが、去年の十一月、トランプ米大統領が訪日した際、北朝鮮の危機を言い立てて、安倍晋三首相に購入を約束させた、“あれ”のことだ。当時の報道では、一基八百億円だった。その後、安倍政権は“蚊帳の外”状態に置かれたまま、トランプ大統領は、金正恩・北朝鮮と一気に友好な関係を築いていく気配を見せ始める。

 一方で、北朝鮮をだしに、ゴルフ仲間のトランプ米大統領に押し売りされた八百億円の「イージス・アショア」は、いつの間にか、「2基で4000億円以上」(読売)、「五千億円に迫る可能性」(毎日)、「2基で5000億円超に跳ね上がる」(朝日)とまるで詐欺みたいな高騰ぶりである。

 話は変わる。五月末、JRを使い、新千歳空港から仙台空港を経由して福島県に行って来た。三泊四日の旅だったから、さほど大きくはないが、それでも札幌駅でキャリーバッグを持って新千歳行きの電車のホームまで移動するのは、なかなか大変な仕事だった。旭川空港から直行便があれば、絶対にJRなど使うものか、と思った。旭川―新千歳空港のJR利用客は、直通がなくなった二〇一六年春以降、大幅に減っているに違いない。

(工藤 稔)

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