弊紙記者の奥さんは医師だ。子ども二人を育てながら医大を卒業した頑張り屋さん。彼女が怒っていると聞いた。「働く環境を整えないで、女性の可能性を奪うなんて、絶対に許せない」と。

 東京医科大学医学部医学科の一般入試で、女子受験者の得点を一律に減点し、合格者数を抑えていたというニュースは、読売新聞のスクープだった。その後、各紙、各テレビ局が大きく報じ、余波はまだ広がりそうだ。特ダネに敬意を表し、二日付読売朝刊の記事でコトの概略を。

 ――(前略)女子だけに不利な操作は、受験者側に一切の説明がないまま2011年頃から続いていた。大学の一般入試で性別を対象とした恣意的な操作が明らかになるのは極めて異例で、議論を呼びそうだ。

 (中略)女子受験者の合格者を減らす調整は、10年の一般入試に合格した受験者の男女比で、女子が4割弱と前年の2割強を大幅に上回ったことがきっかけだったという。11年以降、女子の合格者を3割前後に抑えるようになり、実際に同年以降の一般入試では、3割前後で推移している。10年は、合格率も女子が男子よりも上だったが、その後は毎年、男子が上回っている。

 同大関係者は取材に対し、女子に対する一律の減点を認めた上で「女子は大学卒業後、結婚や出産で医師をやめるケースが多く、男性医師が大学病院の医療を支えるという意識が学内に強い」と説明している。(後略・引用終わり)

 四日付北海道新聞に面白い囲み記事が載った。東京医科大の疑惑に対して、怒りや批判の投稿がツイッターに続々と上がっていると報じ、次のように書く。

 ――フランス大使館も呼応。「一律減点」「東京医大」などのハッシュタグを付けた上で、自国の大学医学部では女子学生の割合が2016年は64・1%と紹介し「皆さん、ぜひフランスに留学に来てください」と投稿。フィンランド大使館も「女性医師の割合は57%と世界で3番目に高いんだ」とつぶやいた。(引用終わり)

 名前は明かせないが、十年ほど前、某新聞社の方と話をした折、その会社の新卒者の採用試験では、「男に下駄を履かせる」と聞いた。「そうしないと、女が六割も七割も占めてしまう」と。おそらく、本当の話だろう。今も、その新聞社でそうした調整が行われているかは知らない。

 大学も、企業も、その有り様は社会の実相を映す。残業代ゼロで労働者を酷使しようという高度プロフェッショナル制度を「働き方改革」の目玉だとして強行突破する政権のもとで、女性ばかりでなく、誰もが公平で公正な扱いを受ける社会は成立しない。なにせ、友達や仲間を優遇してはばからない総理大臣を戴いている国なのだから。枕はここまで。

 二日付北海道新聞朝刊に、西川将人市長が十一月に行われる市長選挙に出馬する意向を固めたという記事が載った。前日夜に開かれた後援会主催のビールパーティーで、「11月以降も頑張れと言われる。どんなことができるのか自問自答し、みなさんの期待を受け止めていく」と述べた言葉を取り上げ、「出馬への意欲をにじませた」と解説してみせた。

 その記事を読んだ、小紙の読者でもある友人から電話があった。怒っている。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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