市が計画している新しい庁舎の基本設計(案)について、西川将人市長と地域まちづくり協議会(まち協)のメンバーによる意見交換会(4面参照)が開かれ、聞きに出かけた。

 率直に言おう。西川市長も、その意向を受けて計画を遂行しようとしている職員たちも、無責任である。おそらく市長も、職員たちも自覚していると思う。でも、始めてしまったから止められない、振り返れない、その結果、無責任に、目の前の計画を進めるしかない状況に追い込まれている。私が「無責任である」と断言する理由を書こう。

 会場から、「一期棟と二期棟の建設費は、それぞれいくらか。また、市民負担は、どの程度になる予定か」との質問が出た。百年に一度の大事業、百億円以上の税金が注ぎ込まれる計画である。実態にできるだけ近い予定額を知りたいと思うのは、市民として当然である。

 担当者の答えは、まだ固まっていないので確かな金額は答えられないとした上で、「基本計画では、一平方㍍当たり四十万円で計算すると、一期棟は二万三千平方㍍だから、九十二億円。周辺整備も含めると、税抜きで百十億五千万円の計算になる」と答えた。そして、二期棟については、西川市長が次のように答えている。
 ――早くて十年後にできるかどうか。人口も減るし、経済状況なども分からない部分もある。二期棟の計画を進めるかどうかは…ムニャムニャムニャ。
 要するに、二期棟については計画どころか、ざっくりとしたビジョンもない。成り行き任せで、〝タコ足〟状態になっている農政部も、市教委もそのまま。当初の触れ込みにあった「部局の集約」など全く吹っ飛んでしまい、知らないふりなのだ。
 市民負担について担当者は、「二十五億円は積み立てた建設基金で、残りは起債、つまり借金で賄う。二十年間、年に四億二千五百万円を償還する必要がある」と答えた。
 市議の間でも問題にされている「一平方㍍当たり四十万円」という単価は、およそ現実味がない。参考までに、二〇二〇年に完成予定の北見市庁舎は、地上七階地下一階、延べ一万七千百九十八平方㍍で、建設費は八十八億四千五百十万円。計算すると、一平方㍍当たり約五十万円だ。地下があるから若干高いのかもしれないが、資材も、人件費も高騰の一途をたどっている現状から見て、大幅に下回るなんてあり得ない。平方㍍単価が十万円上がると建設費は二十三億円高くなる。算数が苦手な私だって計算できるわい。当然分かっているのに「四十万円」と説明し続ける市の姿勢は、不誠実極まると言わざるを得ない。

(工藤 稔)

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